Novel
□こっち向いてよ、退屈ボーイ
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※中学生経逸
++++
「なぁ いつひとー」
「…」
「いーつーひーとー」
「……」
「逸人くーん」
「………ッ…!!」
ブチッ
「ああもう!!さっきから何だ!!こっちは作業してんだから静かにしてろよ!!」
俺と向かい合うようにして座る経一のあまりのうるささに、机を思い切り叩いて怒鳴る
「だって逸人がホッチキスにばっか集中して相手にしてくんねーんだもん」
悪びれる様子もなく、経一はプリントの一枚を手に取っていじり始める
机に散乱した大量のプリント
先生に頼まれてホチキス止めをしている途中だった
もう放課後で日も暮れかけていたし、何より長引きそうだったから蛇頭さんや経一には先に帰っていいと言った
にも関わらず経一は「俺も残る」とか「俺はいつも逸人と帰るって決めてんの」とか言い出す始末
『結局邪魔してるだけじゃないか…』
気づかれないように小さくため息をつく
どれぐらい時間が経っただろう
経一がやけに静かだ
気になってプリントから顔を上げる
が、少しでも気にした自分が馬鹿だった
経一が静かだった理由はエロ雑誌に読みふけっていたからだ
その過激な表紙に、思わず赤面して視線を逸らす
『…なんだよ』
さっきまで俺にしつこいくらいに絡んできてたのに
今じゃそんなエロ雑誌に夢中かよ
「…経一のバカ」
こっち向けよ
寂しいだろ
…なんて
死んでも言えないけど
end.