Novel

□モノクロアクト (冷逸)
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「…う…っ…」



朝の光で目が覚める
時計の針は朝の9時を指しているが、今日は休日だ


やっぱり夢だったか


ぼんやりと思いながら ふあぁと一度あくびをして、伸びをする



なんだか変な夢だったな

よく考えれば、病魔が恋なんてするはずないじゃないか
うん、あり得ない
そう考えれば我ながら滑稽な夢だ
思い出して少しおかしくなる


そうだよ、最後の言葉なんて特に…



『だからお前は鈍いと言われるんだ』

「え?何?」

『…もういい』


突然脳内に響いた冷血の声に、特に驚く事もなく軽く受け流す
冷血の声がなんだか不満げだったのは きっと気のせい



「さて、休日とはいえさすがにもう起きないと」

『もう少し寝ていてもいいんじゃないか?』

「だめ。そんな事してたら平日に起きられなくなるだろ」

『人間は面倒な生き物だな』

「お前たち病魔とは違うんだ」


多愛もない日常会話

ふと 夢の中で聞いた、冷血の最後の言葉を思い出す
風に掻き消されて 微かだが、聞こえた言葉















『それは、』







逸人 お前だ














なんて、まさかね


それはないよね



『…鈍感』

「え?何か言ったか?」

『別に何も』




こうしてまた、僕と冷血の一日が始まる




end.
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