Novel

□陶酔 (山逸)
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初めて貴方と出会った時、なんて美しい人なのだろうと思った


男性に美しい、というのは失礼かもしれない
けれど それ以外に形容できないほど、貴方に魅入っていた自分がいた


その日から貴方は、私の世界の中心で
貴方の顔を頭の中に浮かべる度に 焦燥感と激しい動悸がこの胸を襲うのです



どうやら私は 貴方に恋をし 愛してしまったらしい


妻子がいるのにも関わらずほかの人を愛してしまった自分を、なんて浅ましいのだろうと自嘲する

それでもこの想いを消すことはできなくて



「貴方はとても白くて、まるで汚れを知らない処女雪のようですね」


そう言って頬に手を添えれば、恥じらって俯いてしまう純情さ


本当に素直で 可愛らしくて 放っておけない人


きっと先生は、俺のこの気持ちに気づいていないのでしょう

こんなにもアピールしているのに
こんなにも貴方を欲しているのに

気づいてほしいのに

けれど
貴方を傷付けるのが嫌だから
拒絶されるのが怖いから

その笑顔を失いたくないから


俺はこの想いを 貴方に告げはしない










届きそうで届かない










そんな貴方の存在に  私は酔うのです








end.
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