Novel
□草食系男子の戦線布告 (藤逸←アシ)
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最近 どうにも藤君とハデス先生のことが気になる。
妙に二人の距離が近いし、気がつくといつも二人でくっついてる。
せっかく保健室に遊びに行っても、先生の視線はあっと言う間に藤君に向けられて僕を映さない。
藤君といる時のハデス先生の笑顔は、いつも僕たちに見せるあの笑顔と明らかに違うんだ。
その笑顔はまるで、藤君が先生の『特別』だということを表しているかのようで、僕はあまり好きじゃなかった。
確かにハデス先生の笑顔が見られるのは嬉しいし、幸せそうな顔を見ているとこっちも幸せな気持ちになる。
でもその笑顔が藤君に向いていると思うと、自分ではどうしようもないくらいの焦燥感が沸き上がってきて苦しい。
多分これは嫉妬なんだろう。
分かってはいても抑えきれない感情。
友達に嫉妬する僕はなんて醜いんだろう、と思う。
確かに藤君は僕の友達でとても大切に思ってる。
力になれる事なら進んで協力したいとも思ってる。
でも、これだけは譲れない。
僕だってハデス先生が好きなんだ。
いくら藤君でも渡したくない。
奪い取ってみせる。
草食系男子とか言われてる僕でもやる時はやるんだ。
心の中で呟いた
一度深く深呼吸
さぁ いこう
シンクに向かい、お茶をいれている先生に駆け寄った。
「先生、僕も手伝いますよ」
にこやかな笑顔で話しかける
昼休みの戦線布告
口には出さないけれど 確かにこれは僕の決意
end.