Novel

□結び桜
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うららかな春の風に乗って 咲き乱れた桜の花びらが散って舞う
それは、よく晴れて雲一つない青空に驚く程美しく映えていた

今年もまた春が来た

今日は常伏中学の卒業式
卒業生たちは式を終えて 友達と喋ったり、写真を撮ったり、中には泣いている人もいる

『卒業か…早いなぁ…』

時間というものはあっと言う間に過ぎてしまうものだ
どんなに楽しい時間でも どんなに悲しい時間でも



ああ、そうか もう五年も経ってしまったのか
あの子たちが卒業してから



ふと思い出すのは五年前の卒業生



皆 最初は僕の事を怖がっていた
態度もよそよそしかった
それはこんな見た目だから仕方ないと思っていた

でも だんだんと慣れて笑顔を見せてくれるようになった
それがたまらなく嬉しくて


アシタバ君 藤君 美作君 本好君
安田君 鏑木さん 花巻さん


みんな みんな
保健室に来てくれた


残念ながら、もうこの学校にはいないけど



無意識に歩いていたら、いつの間にか保健室の前に辿り着いていた
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