Novel

□想い夢
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先生の銀灰色の髪が 窓からの風でカーテンと共に揺れる

琥珀色に輝く瞳は書類の文面に向けられていて、自分を映してはいない


『こっち向いてくんねぇかな』


ボーッとそんな事を考えていると、小さな焦燥感のようなものが沸き上がってきた


『なんで気付かねぇんだよ』


俺が 先生が好きだって事


中身も 外側も 性格も 声も 髪も 瞳も
全部 全部 好きなのに


『まあ言ってないから当然だけど』

いや、違う

『…言えねぇよ 「好き」だなんて』





ふと目を開けると、時計は午前の授業の終了時間を指している

いつの間にか寝てしまったらしい

腕を伸ばして大きな欠伸をする

「おはよう藤君。なんだかご機嫌そうだね」

上から降ってきた先生の声

「ああ、ちょっといい夢を見たんだ」


あんたに告白する 夢を見た

end.
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