Novel

□Error (黒虎虎)
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※エビマヨ

+++








「しっかしまぁ…クロちゃんて本当、俺にそっくりだよなぁ」

「虎徹ヲ元に作らレたかラ、当たり前だろウ」



俺を上から下までしげしげと眺め回す虎徹はいかにも興味津々という風で、琥珀色の瞳は幼い子供のそれのようにきらきらと輝いていた。

生き生きとした光を湛えた真っ直ぐな人間の眼差し。




その輝きは、自分には無い。




所詮自分は人工的に作られたアンドロイド。




瞳の代わりに埋め込まれた紅い義眼。
見た目と感触こそ人肌だが、ウレタンで精巧に作られた人工皮膚。
一皮剥けば中身は機械だ。



当たり前のように心なんてものは無いし、感情も無い。




「一一俺ハ、お前ガ羨ましイ」




心を持った、お前が。




笑ったり
涙を流したり
誰かを好きになったり




それらをできる人間が。




「何だよ、お前だってちゃんと笑えてんじゃん」




虎徹の手が、俺の頬に延びてきてつまむように引っ張られる。



「…俺は今、笑っテいるノか?」

「口元緩んでんの、自分でわかんねぇ?笑ってるっつーか、微笑んでるっつー方が合ってるかもな」


目の前にある自分と同じ顔がへらっと笑った。



とても明るい 温かい笑みだ。







その笑顔に、一瞬頭脳システムに原因不明のノイズが走った。







突如システム全体を侵し始めたそれは急速に広がって、やがて視界を紅く染める。







『Error』







眼前に浮かんだErrorの五文字。

そのエラーの原因を探して解析する。






『プログラムに無い感情データが発見されました。』


『新しくデータとして読み込む為一度シャットダウンします』


『データ名は一一』










「 」









『シャットダウンまで 5』






これが人間の感情というものなのか






『4』






記憶媒体が混乱して、掻き回されているような感覚






『3』






視界が揺れる
世界から色が消える
顔の表面温度が上昇する






『2』






理解した
人間はこの感覚を「恋」と呼ぶのだと






『1』











目の前が暗転して電源が落ちた。



途切れる記憶の端で、最後に虎徹の俺を呼ぶ声を聞いたような気がしないでもない。












(闘う為に作られたアンドロイドはオリジナルの彼に恋をした)









end.

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