Novel

□愛情狂現
1ページ/1ページ


※兎が病んでます。
※流血表現有りにつき注意!!









腕を降り上げて、思い切り振り下ろす。


ゴッ…


鈍い音がして、拳が頬にめり込んだ
それでも僕の中に沸き上がった衝動はまだ止まらない



何度も何度も
虎徹さんに跨ってその顔を殴る、殴る


虎徹さんもそれを拒絶しない
ただただ僕を哀しげな目で見つめるだけ


「バニぃ…」


力無く僕を呼ぶ声


ああ、なんて愛しい僕の恋人


「愛していますよ、虎徹さん」


耳元で愛を囁いて、
そして思い切り横から殴りつける


その瞬間、ピッと皮膚の裂ける音がして殴りつけた頬から鮮血が滴った

思わず見入ってしまうほど魅惑的で綺麗な紅い色


「あなたは血がよく似合いますね、」

「いっ…!!!」


わざと傷口を開くように触れれば痛々しい呻き声が漏れた
激痛に潤んだ瞳が僕を見上げる


その視線さえも愛しい


本当は僕だってこんなことはしたくない
貴方を傷つけたくはないんです



でも、僕はこれ以外に人を愛する術を知らない
人に優しくする術を知らない



だからこれが




僕なりの愛情表現。






(もし、他の方法があるのだとしたら
僕は知りたい
貴方を傷つけずに愛する方法を)





end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ