Novel(捧げ物)

□Priceless-お金じゃ買えない価値がある-(T&B/兎→虎←薔薇)
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「…っ、」



あまりの緊張に思わず生唾を飲んだ。



これまでの人生の中で、今この瞬間ほど緊張していたことが果たしてあっただろうか。



震える手を箱に入れ、中から掴んだ一枚のくじを取り出す。


恐る恐るくじを開いた。
―――中に書いてあったのは






「や…やったぁぁ!!!」







***







「ちょっと聞いてよ、今日は朝からすごい事があったの!!」


トレーニングルームに入ってくるなり、満面の笑顔を浮かべたカリーナは既に集まっていたネイサンとホァンに駆け寄った。
駆け寄ると言うよりはむしろ半分スキップで走ってくる彼女に二人は違和感を覚えながらも挨拶をする。


「あら、おはよう。今日はいつもより早いのね」
「おはよう、カリーナ!なになに?すごい事って!」


興味津々に目を輝かせるホァンと、腕を組んで落ち着いて話の続きを待つネイサン。
そんな二人を前に、カリーナは興奮気味に切り出した。



「実はね………じゃーんっ!!」



カリーナが自慢げに差し出したもの――それはヒーローカードだった。
写っているのは勿論ワイルドタイガー。

それもただの、普通のヒーローカードではない。
よく見れば表面はキラキラと光っていてラミネート加工が施されているのが分かる。
写っているワイルドタイガーの姿もヒーロースーツではなくアイパッチをした私服姿だ。

見るからに特別仕様のカードを、カリーナは大切そうにうっとりと見つめた。


「ほら、いつもヒーローカードを売ってるお店があるでしょ?今その店でくじ引きをやっててね、当たりが出るとヒーローカードのレアバージョンが貰えるの!
各種類一枚ずつしかないから、もう嬉しくて嬉しくて…」


嬉しそうに笑うカリーナに、ホァンが目を輝かせる。


「わあっ!タイガーさんのカードかっこいい!ねぇねぇ、これってボクたちのバージョンもあるの?」
「勿論よ。でも、確かホァンのはもう無かったような…」
「あら、じゃあアタシのは?」
「ネイサンのも無かった気がするけど…」
「んふ♪アタシったら人気者ね〜」



きゃあきゃあと賑やかに話に花を咲かせる女子組。
そんな彼女たちを遠目に、壁の陰から見つめる男がいた。






「…へぇ…」




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