Novel(捧げ物)

□甘いのはお好き?(保神/安逸)
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「先生、一つお願いがあるんだけど」


放課後、一番乗りで保健室に飛び込んできた安田。
神妙な面もちで自分を見つめる様子に、逸人は思わず身構えた。
いつになく真面目な顔。何か特別なお願いなのだろうか。


「僕にできることならなんでもするよ。それで、そのお願いっていうのは?」


安田のいつもと違う雰囲気につられて逸人も背筋を伸ばして気を引き締めた。



しばらくして、安田が口を開く。



「先生、俺…」



逸人がごくりと唾を飲む。



「俺、一回でいいからデコレーションプレイがしたi「絶対ダメ」」



バッサリと断られ、安田は一瞬ポカンとしたが、すぐに気を取り直して不満気にブーイングした。


「え〜!!先生にできることならなんでもするって言ったじゃん!!」

「だ、だってお願い事がそんな内容だなんて、ふっ…普通思わないから…!!」


顔を真っ赤にしてイヤイヤと首を振る。
そんな逸人を尻目に、これみよがしに大きなため息をついて通学カバンを漁り、あるものを取り出した。


「あーあ、せっかくこれも持ってきたのに」


その手には生クリームの入ったタッパー。
クリームはすでに泡立ててある状態で、ご丁寧に溶けないように蓋に保冷剤まで乗っている。


「朝早く起きて作ってきたのになぁ…」

「うっ…」


しょぼんと俯く安田の様子が逸人の罪悪感を誘った。
いや、別に悪いことをした訳ではないのだが。


しかし生徒でもあり恋人でもある彼の、こんなに落ち込んだ姿を放っておける程逸人は強くない訳で。


「………一回、だけだよ?」


ため息をつきつつも、ついつい受け入れてしまった。
途端に安田の顔がパアッと明るくなる。


「えっ、いいの!?マジ!?」

「い、一回だけだからね!!」


ああもう、自分はなんて甘いんだろう。
彼のことになるとどうにも拒めない。


「んじゃあ早速ベッドに行こう」


張り切る安田に、これから行われるであろう行為に不安を感じつつ顔を曇らせる逸人。


対象的な表情をした二人はベッドへと移動した。
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