企画
□貴方だけの専属SP (兎虎+薔薇)
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「タイガーが市民に狙われてる?」
「はい。冤罪が晴れてからというもの、自宅に贈り物やラブレターが届いたりしているそうです。他にも色々ありますが、あの一件以来虎徹さんの人気が出た事は確かです。このままだと、いつか虎徹さんに言い寄ってくる人間が出てくるかもしれません」
バーナビーの説明を黙って聞いていたカリーナは、何とも言えない表情で腕を組んだ。
どうやら動揺しているようだ。
「…それで、私に協力してほしいってこと?」
「ええ。僕一人では到底彼を守り切れません」
「で、でも、それなら別に他の人でも」
「同じ気持ちを持った人の方が確実だと思ったんです。貴女も、虎徹さんのことが好きなんでしょう?」
「なっ…!!」
ずばりと言い当てられてカリーナは顔を赤くした。
「ちっ違うわよ!!誰が、あんな奴…」
「…そうですか。なら、仕方がないですね」
驚くほどあっさりと諦め、座っていたベンチから立ち上がって背を向ける。
そのまま立ち去ろうとするバーナビーを、カリーナは慌てて引き留めた。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」
「何ですか?」
振り返ったバーナビーに、カリーナは俯き気味に、呟くように告げた。
「…少しくらいなら、協力してあげてもいいわよ」
そして現在に至る。
「てか、急に楓へのプレゼントを一緒に選んでくれるとかどういう風の吹き回しだ?」
「べ、別にいいじゃない!女の子が欲しいものは女の子の方がよく知ってるのよ!」
「そうですよ。虎徹さん、以前マッドベアを送ろうとしてたでしょう?」
「ぐっ…」
「若い人と一緒に選んだほうが、きっといいチョイスのプレゼントになります」
「そういうモンかぁ…?」
今日は虎徹の娘、楓へのプレゼント選びという名目で約束を取り付けた。
しかしそれはあくまで表面上だけで、バーナビーとカリーナにとっては虎徹を護衛するための約束なのだ。
何気ない会話をしつつ、周囲へ気を配る。
少しでも怪しい動きがあればすぐに対処できるように細心の注意を払うのだ。
正にその時
「あの…、鏑木・T・虎徹さんですよね?」
二人の女子校生が虎徹に話掛けてきたのだ。
「え?ああ、そうだけど…」
「やっぱり本物だ〜!!」
女子高生にきゃあきゃあと囲まれてまんざらでもない様子。
それにむっとしたカリーナが何か言おうと口を開きかけた。
「ちょっと…「すみません」
が、それを遮ったのは他でもないバーナビー。
いつものハンサムスマイルを張り付けて虎徹と女子高生の間に割って入った。
「すみませんが、この人は僕の連れなので今は勘弁してもらえますか?」
キラキラとした笑顔を向ければ、女子高生はその輝きに見とれて呆然としてしまう。
その隙に虎徹の腕を引っ張って輪の中から救出した。
案の定、虎徹は仏頂面。
口を尖らせてブーイング。
「なんだよ、せっかくいいところだったのに〜」
「やめてください。僕が嫉妬で狂いそうです。…じゃなくて、あんなことしてたらいつまで経っても買い物が終わりません」
そう言って虎徹を店内から連れ出す。
ずんずんと先を行くバーナビーと虎徹に置いて行かれないよう、カリーナもその後を追った。
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