企画

□隣の席に転校生 はい、落としましたよ。
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*中学生経逸
*原作様の設定と微妙に違うパラレル仕様
苦手な方はブラウザバック!

...OK?

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朝、いつものように登校すると教室がざわざわと騒がしかった。


クラスの奴に聞いてみたら、どうやら今日は転校生が来るらしい。


「へー、どんな奴だろうな」


女子だろうか、男子だろうか

ぼんやりとその転校生とやらがどんな奴かを想像しながら席に着く。


『やっぱり女子だったら可愛い子がいいなぁ。男子だったら、気軽に話せる奴がいい』

「おーい席に着けー」


教室に入って来た担任によって現実へと一気に引き戻された。
号令係の「きりーつ、れーい」の声とともに朝のホームルームが始まる。


「じゃあさっそくだが転校生を紹介する。ほら、入ってきなさい」


いよいよ対面。
教室がざわめく。




教室の扉がガラッと開いて例の転校生が入って来た。
黒板の前まで歩み出て、生徒の方を向いて口を開く。




「派出須逸人です。…よろしくお願いします」




ふわりと揺れる髪
華奢な体
綺麗に整った小さな顔
大きくて、くりっとした亜麻色の瞳





可愛い、と


男に対してどうかと思うが、それでも素直にそう感じてしまった。





高鳴る心臓
上がる顔の表面温度
胸が苦しい
頭が真っ白になってあいつ以外見えなくなる






なんだこれ

なんだ、この気持ち

ざわざわと胸の奥が疼くとか、今の俺の気持ちを例えるなら多分そんな感覚







どうしよう。あいつと仲良くなりたい。
話がしてみたい。


あいつの事をもっとよく知りたい。


その時




「ああ、伊賦夜の隣が空いてるな。そこに座りなさい」




唐突に巡って来たチャンス。
この時ばかりは担任に感謝した。
マジありがとう先生。


こくりと頷いてあいつがこっちに歩いてくる。
やばい、近くで見ると更に可愛い。
…じゃなくて

何か話し掛けないと。
でも何て話し掛ければいいんだろう。
最初だからベタに自己紹介とか?
うわ、なんかすげぇ緊張してきた。
今何か言ったら確実に噛む自信しか無いわ。





考えれば考えるほど混乱していく。全く俺らしくねぇ。


いつもなら、知らない奴でもすぐに話し掛けられるのに。






「よし、じゃあ授業始めるぞー」


そうこうしている内に授業が始まってしまった。
ああもう、こんな状態の頭じゃ授業なんてまともに受けられる訳がない。





「あっ、」





不意に隣から聞こえたあいつの声。
なんだか顔を向けるのは恥ずかしいから視線だけ隣に向けてみる。


俺の椅子の下あたりを見つめているらしい。
何だ、と思って俺も自分が座っている椅子の下を覗き込む。






そこにあったのは使いかけの消しゴム。






ちら、と上目遣いにあいつを見やる。
一瞬目が合って、照れ臭くて、咄嗟に俺は視線を逸らしてしまった。
ああ、俺って失敗。





一でも、






「ん、」



消しゴムを拾いあげて目の前に突き出す。


初めて近くで、真っ直ぐに見たあいつの顔。
まぁまたすぐに目を逸らしちまった訳だが。(俺がヘタレだからじゃなくて、直視できないの!可愛すぎて!)



見てないから実際には分からないけど、隣であいつが微かに微笑んだ気配がする





「…ありがと、」





顔が、どかあと熱を持ったのが分かった。
きっと今の俺の顔は真っ赤だろう。柄でもねぇ。








でもまあ










こんなのもたまには悪くねぇかもな。








(この気持ちが恋だと気付くのには あの時の自分は幼すぎて)





end.




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中学生の経逸は同じクラスとかだったら大変おいしいと思う←どうでもいい


*webアンソロジー企画「ケイイツ!」提出作品*

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