自分がアポロンメディアでデビューすることが決まったときからバディがいることはわかっていた
しかし目の前の金髪緑眼おひめさま系女子には目を剥くしかない
そんな綺麗な髪で、瞳で、唇で、アイドルでも目指すのだろうか
確かにヒーローとしての相棒だと、たった今聞いたはずなのに

「ベンツェ・ラディスロー、ベンツェが姓ですよろしく」

「鏑木、楓です。よろしくお願いしまぁす」

抜けたような挨拶をすればラディ…さんはふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向いた

ロイズさんの話が耳から耳へと抜けていく
彼女はハニーキャンディというヒーロー名で…
蜂蜜飴なんて、そんなあまぁいヒーローでいいの?
なんて、私もメイプルキャットなのだけど

つんとした態度につり上がった瞳
お姫様というよりは、ヒーローの時のブルーローズさんのよう
女王様、いや、女王蜂かな

でも仲良くしないとな、とロイズさんの話が一区切りし、不安ばかりの中で私は握手を求めて手を伸ばした
今の私はハンドレッドパワー
バーナビーさんのをコピーした
彼女の能力はなんと、NEXTの能力のコピー
私と違うところは、今まで触れたことのある能力者の能力をランダムに発動させるということ
発動すると五分間はその能力が持続され、その後はすぐにまた別の能力を発動させることが出来る
と書類には書いてあった

彼女は私が差し出した右手を一瞥
また、ふんっと鼻を鳴らして顔を背けた


「私、使えない能力のひとには触れないようにしてるの」


顔が、ひきつった
私はこの後、ハンドレッドパワーを使って家に飛び込み、同じく能力を発動したバーナビーさんに受け止めて貰うことになる

お父さんとバーナビーさんと私
今はシュテルンビルトに三人暮らしだ

ヒーローになると決めたからこっちに来たのだが
もう、帰りたい

多大な決意を無意にするくらい、ハニーちゃんの女王蜂様っぷりは素晴らしかった





 

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