※単行本52巻、459話以前に書いたルキア帰省捏造話

















自分の力で
みんなを護れないのが
ツラいんだろう
護りたいんだろう
一護




俺はみんなを、護りたいと思った






● 愛するひとへ ●








死神になってよかったと思うことは沢山あって、数え切れないくらい山ほどで
後悔したことなんて無い

藍染は何か言っていたが、ルキアのお陰で俺は死神に成れた
護る力を、手に入れたんだ
いくら感謝しても仕切れない感謝を胸に
俺は護ろうと思った
遊子を 夏梨を 親父も、
井上を 石田を チャドを、
たつきを 啓吾を 水色を
クラスの連中を、
コンを 浦原さん達も、

みんなみんな護ろうと思ったんだ



だって俺の命はお袋の、母さんの命だ



母さんが救ってくれた命
母さんがくれた命だ

だから、みんなのために使わなければ


初めはそう思っていた
そのうち義務感に変わり、
失って初めて、護ることは俺の義務なんかではなく願望だったのだと気付いた


護りたい
みんなを護りたい


救いたい
ただ目の前の命を救いたい




 
そうして俺はこの剣を振るって来た



護りたい一心で…










「で?いきなり演説し始めて結局私になにが言いたいのだ」



再会の出会い頭に長々と心中を語られた朽木ルキアは腰を手を当て溜息をついた

やはりこの子どもの考えることはわからぬ
と口には出さず一人ごちて黒髪を揺らす


なかなか理由を話し始めない相手に焦がれて

「一体なんなのだ」

と言おうと口を開き掛けた時、一護がやっとそれを遮った



「けどな」



みんなを護りたい、それは変わらねぇ

だけど





「俺はお前を護りたい
お前を一番に護りたい
ルキア、お前は、こんな俺らしくない俺は…嫌いか?」






ルキアは大きな瞳をさらに大きく丸くして瞬きを数回繰り返して唇を戦慄かせる


あまりの出来事に頭は付いていっていなかったが、それでも彼女は考えた



私は貴様に護られるほど弱くはない
だがお前がどうしてもと言うならば私を一番に護ればいい

嫌いもなにも私は貴様らしい貴様が好きだとも言った記憶はないが

貴様らしいとは誰が決めた、貴様がどんな貴様であれ私は…お前が………




ルキアは働かない頭で考えた
自分らしい返事の仕方を


返事の内容は勿論yesなのだが
相手は直接的な告白をしたわけではないのだし、それでは何故か癪である


くるくると真っ白な頭で思考するが定まらず
結局、どのセリフにも付属するであろう言葉を叫ぶことになる






「な、ななな、この、たわけが……大莫迦者がああぁぁぁぁぁ!!!」







泣き叫びながら逃げ出すという黒歴史を残したルキアだったが、
なるべくしてなったとしか言い様のない結果が待っている






黒崎一護


ひとつのものを護るという意味で名付けられた男は


ひとりの死神を護り抜く、と
己の魂と母の墓標に深くふかく誓った






†END†



 

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ