SHORT

□地の青さは
1ページ/7ページ


「……んん…」

ふと、意識が浮上する。
深い深い、眠りについていたように、頭が重い。

ふと感じたのは、体の痛み。

だんだんと意識がはっきりしてくるにつれて、その痛みはジンジンと増してくる。

(い、痛い…体、軋みそう…)

肩の関節が、ギギ…と軋む感覚がした。


(私、なにしてたんだっけ…)

学校に行ったところまでは覚えている。
しかし、そのあとの記憶がプツリと途絶えている。
(床で寝るようなこと、したっけ…?)

体に感じるのは、固い固い床。
直にその上に寝ているのか、擦れた頬が痛い。


「う……」

息が苦しい。
少しでも楽な体制にしようと、寝返りを打った。

目を開ければ、
うすぼんやりとした視界に見えるのは、灰色の世界。

まばたきをしても、ぼやける視界。
目をこすろうと、手を動かそうとした…のに。

ギシ…と音を立てるだけで、手は背中から動かなかった。

(えっ)

驚いて、手をわさわさ動かす。

ギシギシ鳴る縄の音、
手首に走る、鋭い痛み。


その理由が分からないほど、馬鹿ではなかった。


(え…縛られてる…?)

(ということは……)

(わたし…)

(なんか分からないけど、捕まってる?)

(なんで?)



一人混乱しているところに、

カツン、カツン…と靴音が響く。


音に誘われるように、そちらを向けば。




「…やっと目覚めたか。
――フェルト・フェンリル」


黒づくめの衣装。
顔だけ、真っ白のマスク。
見ただけで、本能的な恐怖を覚えるような出で立ちの男が立っていた。



  
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ