SHORT

□出会い
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「…あの、通してもらえませんか…」


おずおずとそう尋ねる少女。
男どもから見れば、それはとても儚く、そして綺麗に見えただろう。


「ちょっとお話しよって言ってるだけじゃん、お姉さん」

「すいません、急いでるんでそういう時間は…」

少女は肩にかけた鞄の柄をぎゅっと握る。
その動作が恐怖からきているのは見え見えで。

「大丈夫、怖いこととか絶対しないからさ。ちょっとお茶しない?ってだけだから」

「ほんとだから。俺ら、かわいい子と話がしたいだけなの。話が」

「あの、ですから時間が…」

少女は困ったようにきょろきょろ辺りを見回す。

しかし夕暮れをすぎて夜となったこの時間では、細い路地になど人は通らない。

少女が望んだような、助けとなるような人影は見当たらなかった。

「ファミレスいこ、ファミレス。そこなら安心でしょ?俺らお酒も飲まないし」

にこにこ笑ったまま、男の一人が少女の手を掴む。
少女は血相をかえて手を振りほどこうとするが、そんなことは不可能で。

「困ります…!」

泣きそうな顔で、離してくれと言うしかない。



  
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