SHORT

□絆
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「…………」

うっすらと目を開ければ。


「……?」

見たことのない部屋に、転がされていた。

拘束はされていなく、下には毛布も敷いてある。
なんだ…?と思いながら身を起こす。
長い間同じ体制でいたせいで体の節々が痛い。

悲鳴を上げる肩を動かしてなんとか耳に触れれば、無くなっている2つのピアス。

あぁ、たちが悪い。

見れば腕輪も無くなっている。




どうしよう、と困り果てる。
魔法道具が無いんじゃ、どうしようもない。

部屋をキョロキョロしていれば、窓越しの青い空が目に入った。

窓から見えている景色は建物が見えない高さにある。
おそらく、5階以上。

まだふらふらしている足を奮い立たせる。
高さを見ようとよろよろと窓に近づく。

ガラスが埋め込まれた窓は、開けることができない。
窓からなんとか下を見ると、



「…………うわ…」


地面が遠すぎて、ものがほとんど見えない。
超高層ビルの高さだ。


これは、飛び降りられないな。




その時、ふと誰かの気配を感じた。

驚いて振り向けば。

男にしては長い紫髪に、緑の瞳。
そして、あくどい笑み。



「高いところは平気かい?」
薄く微笑む、カディが立っていた。

その姿をじっと見るが、いいようにも悪いようにも、動きを起こす様子はない。

「……まぁ」

今こいつに逆らっても、僕にはどうにもできないんだろう。
なら、普通に話すしかない。

「いいね!君のその懸命な判断が大好きだ!」

カディは両手を広げて嬉しそうにはしゃぐ。
イスカは、カディの反応を流した。


「……一体なんのつもり?僕に何の用があるの?」


 
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