SHORT

□追犯
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最初は、ラブレターだった。

たくさんもらうものでもなかったけれど、月に2、3通はあったからさほど気にもしていなかった。


ただ、想いを伝えるだけのもの。
どこに来てくださいといったようなこともない。

会ったら、一言お礼を言って、謝ろう。
毎回そう思って、機会があれば実行して。



そのラブレターが変わったのは、いつからだっただろうか。

狂気にように「好き」が書かれていたり。
最近は、私の写真が大量に入るようになった。

中にはもちろんイスカと一緒のものもあって。
その写真は、イスカのところだけ真っ黒に塗りつぶされていた。






監視されているような気になった。

どこに行っても、手紙の差出人が見ているような気がして。


気が滅入るのも時間の問題だった。











ピンポーン、という音が部屋に響き渡る。


これで何日続いているだろうか。
犯人なんて分かりきっている。


いつもこうやって、クッションで耳を塞いで
1時間も耐えればいなくなる。

その1時間は地獄のようで、まるで数時間も怯えていたような気になる。


そのあとは怖くて、部屋から出られない。



  
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