SHORT

□任務
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「僕とタキで任務…ですか」

任務があると言われて向かった校長室。
極秘任務だと思っていたのに、まさか本来のペアと違う人を指名してくるとは。

「タキくんもイスカくんも、異論はないね?」

「「はい」」

「では、教室に帰りなさい」

厳格そのものである校長は、手を後ろに組みながらそう告げる。

「はい」

「失礼しました」

短くそう返し、校長室を出る。

続いて、タキも。





「なんで、僕等なんだろうねぇ。ショウじゃ何かまずいのかな」

「ショウがダメでも、リンを選ぶはずだろ。あー…毎度のことだけど、校長の考えることは分かんね」


校長室を出て、寮への道のりを歩き出す。
建物を出て、緑を意識した道を二人で進んでいく。

夕暮れなこともあり、人通りはまばらだ。



「任務は普通科に紛れて暮らすこと、か…
何かあるんだろうけど、もうちょっと情報が欲しかったね」

「あたしはしばらく普通科にいたから、少しなら知ってるぞ」

「あぁそっか…普通科ってどんなとこ?」

「常識が通じないんだ。普通に話してると、注意される」

タキは真剣にそう言う。
それに対して、イスカは苦笑気味だ。

「それは想像がつくよ。きっと君が間違ってる」

「見てないくせにそういうこと言うなよな!」

「はいはい」


会話がいったん途切れる。

鳥のさえずりも、虫の鳴き声も一切しない異様な空気。

ただ、風の音のみが通る。




「なぁ、イスカ」

そこに、タキの声が生まれた。

静寂な空気が霧散していく。

「なに?」


  
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