SHORT
□大切なもの
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「ねぇ、ショウ」
「なんだ?」
二人して、寮の自室にのんびりとしている。
僕はソファに寝ころびながら、ショウは暖房の効いたカーペットで横になりながら。
「僕と、一緒にいてくれてありがとうね」
「……どうしたんだ、急に」
ショウは心底驚いたような声をあげる。
読んでいた雑誌を閉じて、カーペットから起き上がる音が聞こえた。
「んー…ちょっと言いたくなったの」
本当は、そんなんじゃない。
ちゃんと、伝えたかったんだ。
――違う、伝えることで、僕が満足したかったんだ。
「どうしたんだよ、ちゃんと聞いてやるから」
いつの間にか、ショウは僕のいるソファまで歩いてきていた。
床に座り、ソファを背もたれにするようにして腰を下ろす。
僕からちょうど、ショウの背中が見える位置。
大事な話だったのだけれど。
大事な話だからこそ、真面目に話しづらい。
どうしよう、と考えた。
「いいよ、そのままで。
俺はちゃんと聞いてるから」
ショウが、なんでも分かってるとでもいいたげに、そう告げる。
「…言わないと分からないことが、あると思ったんだ」
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