SHORT

□記憶  
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近くにあった林に、少し入ったあたりで、イスカを下ろす。

携帯電話は持っている。
いつでもリンに連絡はできるが、とりあえずそれはイスカの容態を確認してからでいい。


「…イスカ」

肩に手をあて、少し強めに揺さぶる。
毒を盛られたわけではないのだから、問題ないだろう。



何度か名前を呼んだころ、イスカの目蓋がピクリと動いた。

「イスカ!」

「……ぅ?」

イスカが、赤い目を覗かせる。

「起きたか、よかった。大丈夫か?」

「…なにしてるの?」

「自分の名前、分かるか?」

イスカは、何言ってるの?といった顔をする。
その様子では、大丈夫だろうと一安心した。

「イスカ・リーベルト、だけど」

「俺は?」

「ショウ・ザフェル」

「よかった…!」



思わず、イスカを抱きしめた。
本当に、どうなるかと思った。


 
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