短文
□ハッピーリスクバースデー
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1週間前から、アタシはとある理由のがあって十四郎さんを避けていた。
彼がそれで傷ついているのは、分かっていた。
けど―――うっかり秘密を口にしない為。
「いらっしゃい、真城さん!」
元気な笑顔で迎えてくれた新八くんに『ども』と軽い挨拶をする。
お土産に持っていたお茶請けを渡し、アタシは万事屋に上がらせてもらった。
「銀チャン!!真城アル!!」
「今日も来たの?熱心だねぇ」
『迷惑かけて悪いけど、今日までだからさっ…また台所借りるよ』
今日は、5月5日。
こどもの日。
―――十四郎さんの誕生日。
彼の為に何かしてやれないかと、アタシは自分なりに考えた。
その結果が、手料理だった。
アクセや着流しも考えたが、十四郎さんはあまり身嗜みに気を使う人ではないし、基本的ににアタシ達は普段から隊服を着る。
第一、あの人はあのままで十分格好良い。
それに十四郎さんに一番強く結び付くのは――やっぱりマヨネーズなのだ。
「あんなニコチン野郎の為に一生懸命な妹の姿を見る俺の立場は?」
『いいじゃん、飯代浮くって事で』
「あんなマヨネーズ大量に使った料理なんて食えるわけないヨ!!」
『でも美味しい?』
「マヨネーズのかかってないトコはな」
「真城さん、料理お上手ですもんね」
『いやいや、新八くんには勝てないよ』
そんなこんなで、アタシは万事屋での試作品作り1週間を経て、十四郎さんの誕生日を祝おうとしていた。
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