短文
□エイプリル・ラバー
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「……今なんつった」
カコン、と。
ししおどしの音がやけに大きく聞こえた。
目の前の男を見て、その目付きの鋭さにごくりと唾を飲んだ。
本当に視線だけで人を殺しそうだ。
『はい…、私……
……沖田隊長と、結婚致します』
>エイプリル・ラバー
私の上司である土方十四郎は、正直変な人だ。
二枚目でクール、仕事でも中々のキャリアを築いている彼は外でだけ。
実際は末期のマヨラー、気の短さにはとことん呆れた。(誰か彼に病院を紹介してやってほしい)
退くんは「頼りになる人」だと言うが、正直よく分からない。
「此処にいたのか。探したぜィ」
ひらひらと手を振りながら此方に歩み寄る沖田隊長をじっと見つめる。
この人はいつも副長をからかっているし、詳しく話が聞けるかな。
そう思って口を開きかけるも、沖田隊長に先を越されてしまう。
「ちょいと手伝って欲しいんでさァ」
『?私にですか?』
「あァ。アンタじゃねェとダメだ」
不思議に思いながら首を傾げると、彼は私に内緒話するように耳元に近づいた。
こそこそと耳打ちされるのは少しくすぐったい。
『……えぇっ!?そんな、私殺され、』
「声がデケェよ…大丈夫だって。俺に任せなせェ」
そう悪戯っぽく笑う隊長に、私は不服ながらも従うのであった。
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