FT夢

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都合のいいことに、話数チェンジで切り替える作戦をとったらしい。

結局立てなくなったあたしは、落ち着くまでエルフマンに負ぶさってもらうことにした。

グレイがさっきから不機嫌だけど、理由が分からない。




『何はともあれ、煉獄砕破の発動が食い止められてよかったヨ』

「ああ…だが、俺達が倒したのは3人だ。アイリスが負けて、尚且つそいつがエレメント4でないなら…」




一体誰が、と考える皆。

あたしがあそこにいた理由は、適当に『負けちゃった』とだけ言っておいた。

実際、負けたつもりはない。

寧ろ勝てる自信はあった!




『ナツくんなんじゃないの?』

「…まぁ、中にいるのはあとアイツだけだから、そうなるな」




と、自分が何の役にも立ってないことにハッとする。

…いや、あれだよ…ジュピター防いだし!

クロードだって足止めしたし!

自分に言い聞かせるように頷くと、エルフマンに「あんま動くンじゃねェ!!」と怒られた。




『ネェ、そういえばルーシィは――』


《妖精の尻尾の皆さん。我々はルーシィを捕獲しました》




耳の奥まで響く音量で、拡声器が喋り出す。

不愉快な声は、まるで自分が神にでもなったかのように淡々と述べた。




「そんな…隠れ家がバレたの!!?」

《1つ目の目的は達成されたのです》


《きゃああああ――!!》




殴り付けるような鈍い音の直後、ルーシィの悲痛な叫びが聞こえた。

全身がぞわぞわとあわ立つのを感じた。


何を、してるの?

あたしの、トモダチに、何を、




《我々に残された目的はあと1つ

貴様等の皆殺しだ。クソガキども》



『……ルーシィが、』

「クソっ…早く連れ戻さねーと…!!」




全員で顔を見合わせて頷くと、あたしはエルフマンの背から飛び降りる。

焦る気持ちを押さえようとするも感情が勝り、バチバチとその場に漏電した。

それが壁を抉るのも構わず、あたし達は一目散に駆け出した。


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