FT夢
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絶対という言葉は絶対ない、そう言っては本末転倒だが、一先ず話を聞いて欲しい。
絶対氷結―――字にするとそう表せられるそれは…如何なる爆炎、衝撃をもってしても溶けることのない氷として名を馳せていた。
が、しかし。
先に述べた事の繰り返しですまないが、この世界に絶対などという言葉は存在しないのだ。
現に。
その氷は今身勝手な理由で溶かされつつある。
「“絶対氷結”!!!?」
「アイスドシェル?」
『グレ、イ…?』
「き…貴様…血迷ったか!!?」
「今すぐ島の人の姿を元に戻せ…そして仲間をつれて出ていけ。
これは、おまえに与える最後のチャンスだ」
流石のリオンも少なからず動揺したようだった。
が、グレイの説得するような物言いに、すぐに平静を取り戻した。
いや、違う。
リオンも、あたしの傍で状況を呑み込もうとするナツも、今は無視だ。
コイツは。
グレイは何をしてる?
「なるほど。その魔法は脅しか…くだらん」
『!』
「―――本気だ」
途端に、周囲にグレイの冷ややかな魔力が広がる。
間違いなく、グレイはこの魔法を発動する気なのだ。
湧きだしたその魔力により、近くにいたリオンは元より、離れているナツとあたしも後方へと吹っ飛ばされた。
膝をついて跪くような体勢であたしはグレイを睨んだ。
「この先何年経とうが…オレのせいでウルが死んだという事実は変わらねえ。
どこかで、責任をとらなきゃいけなかったんだ。
それを、ここにした。
死ぬ覚悟はできている」
「本気…なのか…!!?」
「答えろリオン!!!共に死ぬか、生きるかだ!!!!」
「やれよ。おまえには死ぬ勇気はない」
『…よ』
「残念だ」
『…んだよ』
「ぬぅぇあぁっ!!!」
『何でなんだよッ!!』
どうして―――!
どうしてはグレイはこんなにも!!
自分の事を大切にしてくれないの?
「これで全て終わりだ!!!!アイスド…」
「どアホォ!!!!」
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