FT夢
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ゆっくりとした歩調で歩きながら、あたしは昨晩の事をグレイに説明した。
村が無くなった事、此処がその村の資材置場である事。
勿論、怪我人が出なかった事も。
『目が覚めたら来いと言われてるのサ』
「……誰に?」
『…フフフ』
自棄ともとれるあたしの笑みに一瞬怯えたグレイ。
分かってたさ…いつかこうなると。
ギルドの掟を破ってあの人が許すわけないって。
あたしはとあるテントの前で、止まった。
入り口を開いて彼を入れると、あたしは一人で逃げ「アイリス」…冗談だ。
『ごめんなさい』
「エルザ!!?」
女王様が如く佇む彼女、エルザ・スカーレットは表情からすぐに感情が見て取れた。
ああ、怖い…普通にビビってるよあたし……
「だいたいの事情はルーシィから聞いた。おまえたちはナツたちを止める側ではなかったのか?グレイ、アイリス」
「……」
『止めようとはしたよ。気はなかったけど』
「黙れアイリス…あきれて物も言えんぞ」
「ナ…ナツは?」
「それは私が聞きたい」
『ルーシィ、ナツくんは?』
「わ…わからない。村で零帝の手下と戦ってたハズなんだけど…」
『さしみとまゆげね』
「うん…そいつ等は片付けられてたのに、ナツの姿が見当たらなかったの」
それで、取り敢えずグレイとあたしがいる此処に来たらしい。
どうして此処が分かったのかと問うと、ハッピーが空から探したとのこと。(縛られたまま、らしい。お前は風船か)
すくっと立ち上がったエルザは強く決心した目の色をして、
「グレイ、アイリス。ナツを探しに行くぞ。見つけ次第ギルドに戻る」
『ん?』
「な…何言ってんだ、エルザ…事情を聞いたなら、今この島で何が起こってるか知ってんだろ」
「―――それが、何か?」
唖然とするグレイ。
ルーシィを一瞥すると、彼女は黙って首を振った。
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