FT夢

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『化け物は言い過ぎなんじゃない?』

「自覚がないのか?ならば何度でも言ってやろう。貴様はこのデリオラと変わらぬ悪魔だとな」


『……お前彼女いないだろ』

「…………」




図星だったのか、男は掲げた片手から今までよりも大きな氷を造る。

いや…化け物に手加減は必要ないと言う事かな?


それを雷で破壊し、地面を強く蹴り前に出る。

壊しきれなかった氷の破片が身体を斬り付けるが、この身体の事を隠す事はしない。




『、っふ』

「!」




男の前で右足を上げ、そのまま回し蹴りする。

魔法でくると予測していて面食らったのか、あたしの攻撃を顔に当たる寸前に右腕で止めた。

足を引くと、拳で順々に攻撃を繰り返す。




「もう魔法は諦めたのか?」

『うん。安心して、すぐ魔力溜める』

「体術も出来るのか…中々いい動きだ」

『…なんでさっきから上からなの?』




ムカツク。

余裕な顔をする男から一度距離を取り、息を吐く。

魔力を消耗し、体術も悉く防御され…あたしは肩で大きく息をしていた。

遺跡の外なら負けない自信はあるけどなあ。




『そろそろ帰らせてもらうよ』




それだけ言うと、あたしは再び印を結んだ。

これ以上しても無駄な気がする。

一度村に戻って対策を練るべきだ。




『“邪悪爆雷グランベーゼ”』

「アイスメイク“白虎スノータイガー”」




互いの魔法がぶつかり、爆散する。

煙で視界が悪くなった隙を見て、あたしは足早にその場を離れようと駆け出した。

傷は既に治ったハズの箇所がズキズキと痛む。


そういえば名前を訊くのを忘れた。

男は追って来てはいなかった。




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