FT夢

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全員が寝静まった頃、アイリスはこっそりと寝床を抜け出した。

まだ空には紫の月が不気味に微笑んでおり、起床には早すぎる時間だった。


と、テーブルを見てふと気付いた。

トレードマークともいえる、彼女の長く流れ落ちる髪を縛るリボンが見当たらない。

別段焦る事もなく、アイリスは辺りを見渡した。




『……!』




あった。

見つかった事、そして見つかった場所に心が安堵し、溜息を吐く。


自分が生涯で見つけた“二人目”の相棒の腕の中に、それは収まっていた。

大切に抱えるグレイからそっと抜き取ろうとするも、駄々をこねる子供のように拒まれ頬を掻いた。

仕方ない、そう言いたげな面持ちで、アイリスはグレイから離れ身支度を済ませた。

自分は少し調べモノがあるからと書き置きを残すと、外に出た。


相変わらず紫の月は不気味に光っている…が。

先刻とは違い、一線の光が月から射出されていた。



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