FT夢

□13
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――――、

―――…っかり…ろ


――オイ…アイリス……!





『……ん』




誰かが、あたしを呼んでる。

重い目蓋をゆっくりと開くと、目の前には…見慣れた親友の顔があった。




「アイリス!!!」

『……ナツ?』

「よかったー…」

『ルーシィも…あれ?』




上半身を起こすと、生濡れで身体に張りついた服が擦れて気持ち悪かった。

起き上がる拍子についた地面は柔らかい砂で、どうやら此処は浜辺らしい。

くらくらする。

鼻の奥がつんとした。




『あれ…えっと……』

「ガルナ島についたみたいよ。昨日の大波のせいで海辺に押し寄せられて」

『あぁ、そっか…S級…』




未だ浮つく思考を正すように首を振る。

水を吸った髪が重い…




「それにしても、何だったんだろ?あの腕…悪魔の呪い?それに、消えたオジさん」

『確かに消えたけど…気配はあった』

「え?」

『……んだろ、これ…変な感覚だ』


「気にすんなっ!!!探検行こーぜ!!探検!!!」

「あいさー」

「依頼内容からして、最も気にすべき事じゃないかしら!!?」




すこぶるポジティブなナツである。

一度絞ったリボンをタオル代わりに、髪を拭く。


依頼主はこの島唯一の村の長らしい。

成り行きとはいえ、あたしも掟破ってるんだと思うと少し気は進まないけど。

「待ちな」ずっとすぐそばで転がっていたグレイが立ち上がり、声を出した。




「何だよ!!!ここまできたら、もうつれ戻せねーぞ!!!」

「いや―――オレも行く」

『ふむ』

「やっぱりおまえらだけ先に二階行くのもシャクだし、破門になったら、それはそれでつまらん」




少し捻くれた言い方をする奴に、思わず笑ってしまった。

グレイのその言葉を聞くと、あたし達は笑顔で顔を見合わせた。




「行こうぜ」

「「「おおっ」」」

『おー』



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