FT夢

□12
2ページ/3ページ





『てなワケでハルジオンまで来たけど…


















もう帰りたい

「早ェよ!!!」




グレイにばしっと叩かれ、痛む箇所を押さえる。

意地張っちゃったからなあ…結構強引に。

帰るワケにはいかないか…


手掛かりはとくになし。

ただ二人と一匹の目的地は此処から沖に進んだガルナという島だ。




『潮の香りで匂いは掴みにくいし…』

「ま、地道に話聞いてこーや。まだそんな遠くには行ってねえだろ」

『…仕方ない…ちょっと本気出すかな』

「は?」




あたしは髪を急いでツインテールに結って、首をぐるりと回した。

近くに丁度よさそうに溜まっている人達を見つけると、小走りに向かう。




「!アイリス、まさか」














『―――あのっ!…すみま、せ、っ…』

「!?」

「ど、どうしたんだじょーちゃん!?」

『はあっ…この、辺りで…私の兄を…桜色の髪をして、はぁ、マフラーしてて…はっ』

「お、落ち着け!何があったんだ!?」


『……母が、危篤なんです(うるっ)』

「「「何ィ!!?」」」

『お兄ちゃん…ガルナって島にある薬があればって家を飛び出して…!

私っ…一人じゃ、怖くって…うぅっ…!』


「な、泣くな!!」

「そ、そうだ!!!オレ達も探してやるから!!!」

『ほ、本当ですかっ!?』

「ああ!!他の船乗り達にも声かけてやるよ!!」



『あ…ありがとうございますっ(ニコッ)』

「「「(ズキュゥーン!!!)」」」

『わ、私もこの近くを探してるので、見つけたら教えてくださいね』


「よしッ!オレに任せろ!!」

「馬鹿っ!!オレが、」

「いや……」














四方に散る男達を横目に、あたしは髪を解いていつものように結い直す。

チラリとグレイを一瞥すると、唖然とした表情であたしを見ていた。




「……お前更に腕上げたな」

『妹キャラは万国共通で愛されるからな。十八番だよ』

「あー…まぁ、捜し手は多い方がいい、よな……?」




あたしの演技はギルド内ではそこそこ有名なモノであり、同時に恐れられるモノだった。

驚く事に面白い程周りが引っ掛かる故、今のように悪用する事が多々あるからだ。

このせいで、一部ではあたしを信用してくれない人も、まぁ…いる。

狼少年殿にはなりたくないが。




『ま、これであたし達はのんびり捜せ…』

「おーい、じょーちゃん!あんたの兄貴見つかったそうだぞォ!!」


『あれ予想以上に早い。ごほん…

本当ですかあっ!?あぁ、お兄ちゃん…!』

「……」




グレイの視線が少し痛い。



,

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ