FT夢

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『だるー…はむ』




顔をぺたんと机につけ、横からレビィが差し出してくれる朝飯をちまちま頬張った。

介護というか…餌付けされてる気分だ。




「アイリス可愛い…ペットにしたいなあ」

『レビィならいいよー。はむ』


「あ、(でもグレイ怒るだろうし、他にも…)」




何やら深刻な顔をしているレビィ。

中々次が来ないので、彼女が持っているそれを自ら口で迎えに行った。

もひもひとハムスターが如くそれを噛っていると、レビィがよしよしと撫でてくれた。


と、慌ててミラジェーンが二階から階段を駆け下りる姿が目に入る。




「マスター!!!二階の依頼書が一枚なくなっています!!!」

『!…S級の…?』

「オウ…それなら昨日の夜、どろぼう猫がちぎっていったのを見たぞ」

「!!」

「羽のはえた…な」


『……ハッピー!?て、ことは…』




必然的かはどうかは分からないが、恐らくルーシィも一緒なのだろう。

騒めきだすギルドに響く、微かな不安。




「これは重大なルール違反だ。じじい!!奴等は帰り次第、破門…だよな。

つーか、あの程度の実力でS級に挑むたァ…帰っちゃこねえだろうがな。ははっ」

「……」


「ラクサス!!知ってて何で止めなかったの?」

「オレにはどろぼう猫が紙キレくわえて逃げてった風にしか見えなかったんだよ。

まさかあれがハッピーで、S級に行っちまったなんて思いもよらなかったなァ」




明らかに…こうなる事を知ってて止めなかったんだろう。

だが事実であっても彼を強く責める事は出来ない。

確証はないし…何より行動を起こしたのはナツなのだから




「マズいのう……消えた紙は?」

「呪われた島―――ガルナです」


「悪魔の島か!!!!」




激しく動揺するマスターやギルドの皆。

二年離れた事を差し引いても、あたしはあまりこの辺に詳しくないから…その島の名前にピンとくるものはない。

ただ、皆の表情から二人と一匹には危ない事が分かった。




「ラクサス!!!!つれ戻してこい!!!」

「冗談…オレはこれから仕事なんだ。てめえのケツをふけねえ魔導士はこのギルドにはいねえ、だろ?」

「今ここにいる中で、オマエ以外誰がナツを力ずくでつれ戻せる!!?」




……ラクサス、以外で?

ちょっと見過ごせない発言をされ、あたしは席を立ってマスターを見た。

何故か、音が二重に聞こえる。

辺りを見回し、納得した。


―――あたしの相棒も、同じように感じたらしい。

互いに顔を見合せた。




「じーさん…そりゃあ聞き捨てならねえなァ」

『あたし達には役不足って事かナ?』



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