FT夢
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翌日、あたしとナツは揃って牢から出して貰えた。
やはりあたしへの罪状はそのまま有罪になったようだけど。
「やっぱりシャバの空気はうめえ!!!!最高にうめえっ!!!!」
『全く同感だね。あんなしみったれたトコはもう御免だよ』
「けっきょく“形式”だけの逮捕だったなんてね…心配して損しちゃった」
「そうか!!カエルの使いだけにすぐに“帰る”」
『黙ればグレイ。…ごめんねルーシィ、心配させて』
あたしがそう言うと、ルーシィはニッコリ笑って「ううん!何事もなくてよかった」と言ってくれた。
帰ってくるなり騒々しいナツに脱力しながら、いつものように席につく。
『ミラー。あたしアイリスちゃんスペシャルよろしくー……あれ?』
「アイリスには沢山迷惑をかけた…お詫びに、今日は私が作ろう」
『え…エルザちゃんが?』
「まったく…あまり偏ったモノばかり食べるものではないぞ」
過去に一度…エルザが私の為に料理を作ってくれた事があった。
それで私の味覚が常人と大きくズレてしまった程に……素晴らしい味がした(このスペシャルの組み合わせがいい例だ)
はたして彼女の腕はどのくらい上達したのだろうか…(悪い意味で)
遠い目をしていると、グレイを挟んで逆側に座っていたエルフマンが思い出したように声を出した。
「…で、エルザとの漢の勝負はどうなったんだよ、ナツ」
「漢!?」
「そうだ!!!忘れてたっ!!!エルザー!!!この前の続きだーっ!!!」
そう言ってナツが向かって行くのは、エルザの元。
エルザはあたしがミラに頼んだハズのアイリスちゃんスペシャルをせっせと作っている最中だった。
なんか色が変だけど。
……今のあたしならあれが美味しく感じるのか?
いや、一周して元の味覚に戻る…?
「よせ…今は忙しい」
「行くぞーっ!!!」
エルザの言葉など聞きもしないで、ナツは拳を振りかざしてエルザの元へと走る。
彼女は手にしていたグラスをテーブルに起き、溜息混じりに「やれやれ」と呟いた。
と―――次の瞬間、エルザが何かを振り回した。
あまりに速すぎて、彼女が手にしている柄の部分しか分からなかったが…なんだろう、大槌のような…
ナツはそのまま悲鳴を上げる暇すらなく、壁まで吹っ飛ばされ気絶。
……うわぁ。
「仕方ない。始めようか」
「終――了――!!!」
「ぎゃはははっ!!!だせーぞナツ!!!」
「やっぱりエルザは強ェ!!!」
『もう少しいい勝負になるかと思ったんだけどナ…』
頬をカリカリと掻きつつ、吹っ飛ばされたナツを見た。
まったく…昨晩のお礼がてらあたしも本気で相手したげようと思ってたのにな。
あの様子じゃ無理そうか。
そんなナツの姿に皆が笑っていると、突如―――それは現れた。
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