FT夢
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鉄の森との騒ぎが終わって帰ると、あたしはギルドのカウンターに突っ伏して眠ってしまった。
久々の仲間との仕事、戦闘は慣れないモノでもあって、知らないうちに疲れが溜まっていたのだろう。
その後数字はダラダラとベッドの上で過ごし、ギルドには殆ど顔を出さなかった。
「今日、ナツとエルザが闘うんだって!!」
新聞を運んできてくれたレビィに、そんな話を聞くまでは。
そういえば、あの騒ぎの前…ナツがエルザにそんなこと言ってたっけ。
「もう皆広場に集まってる…早く行かないと!」
『だるー』
レビィはあたしの腕を引いて、すたすたと歩いて行く。
数日とはいえ、昼夜逆転生活を送っていたんだから…ちょっと辛い…
レビィの言う通り、ギルドの前の開けた場所には人集りが出来ていた。
その中心に、ナツと、エルザ。
「アイリス!」
『あ、ルーシィお久し振り』
「こ、これ…止めなくていいの!?」
『…ホワイ?』
「だって…最強チームの二人が激突したら…」
久々に会ったルーシィは、少しワケの分からないことを言う。
最強チームとは何の事だろうか。
「アイリスとグレイと、ナツとエルザのチームよっ!!!妖精の尻尾トップ4でしょ」
「はぁ?くだんねェ!!誰がそんな事言ったんだよ」
『あ、おはようグレイ』
いつの間にか背後にいたグレイも、理解できなさそうにそうぼやいた。
と、そのすぐ傍にいたミラジェーンが顔を手で覆って肩を震わせ始めた。
……成程。彼女が言ったのか。
と、今度はエルフマンが、
「確かに、ナツやグレイの漢気は認めるが…“最強”と言われると黙っておけねえな」
『妖精の尻尾は皆強いもんねー』
エルフマンはさり気なく自分を主張していたが、そこは敢えて突っ込まないでおこう。
ジェットとドロイと合流したレビィも話に加わる。
「最強の女はエルザかアイリスで間違いないと思うけどね」
『あたし?…あたしはセシリアに一票だけどナ』
「あ。そう言えば、あの人も中々帰ってこないね」
『やっぱりまだ帰ってないんだ……まったく、いい歳なのにねー』
「最強の男となると、ミストガンやラクサスもいるし」
『いやいやいやいや、男なら師匠が最強。これは断言する』
なんて、ギャーギャー騒いでる間も、ナツとエルザの睨み合いは続いている。
ミラはミラで、「私はただ、ナツとグレイとアイリスとエルザが一番相性がいいと思ったのよ」と涙を拭っていた。
よしよしとその頭を撫でる。
何にせよ、これから目の前で始まる戦いは面白いモノだろう。
「私も本気でいかせてもらうぞ。久しぶりに自分の力を試したい。
すべてをぶつけて来い!!!」
耐火能力のある炎帝の鎧に換装したエルザ。
……此処だけの話、彼女のこのツインテールは中々あたしの趣味に適っている。
「やっぱりエルザにかけていい?」
どうやら賭けまで行われているようで、ハッピーは最初ナツに賭けていたのだろうが…炎帝の鎧を見てか、エルザに変更していた。
床にしゃがみ込むカナさんに苦笑いしつつ、あたしも交ざろうか、と思う。
「あたしこーゆーのダメ!!どっちも負けてほしくないもん!!」
「意外と純情なのな」
『勝って欲しい意味も込めて、3000Jナツにね』
「ハンっ…どうせ、エルザの圧勝だろ」
『可愛くない事いうねぇ…反抗期?グレイ?』
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