FT夢

□07
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気分が悪いというよりは…よくない気分だという方が相応しいかもしれない。

決して体調が悪いわけではなく、絶好調ではないというか。




「お呼びでしょうか?御主人様」

「え!?」




ルーシィが呼びだした事で現れたバルゴという星霊はメイド服に身を包んだ清楚な女性だった。

ゴリラだとかなんとか言っていたけれど…そんな印象か皆無だ。


驚いているのはルーシィも同じようで。




「やせたな」

「あの時はご迷惑をおかけしました」

「やせたっていうか別人!!!あ…あんた、その格好…」

「私は御主人様の忠実なる星霊、御主人様の望む姿にて仕事をさせていただきます」



「前のほうが迫力あって強そうだったぞ」

「では…」


「余計な事言わないの!!」



「へぇー。かわいらしいじゃねえの」

「ルーシィか…やはり、さすがだ」

『話の筋がイマイチみえないけどね』



「時間がないのっ!!!契約、後まわしでいい!?」

「かしこまりました、御主人様」

「てか御主人様はやめてよ」




よく分からないが、彼女は見た目通りのメイドさん気質らしい。

忠実に仕事を進めようとするバルゴに突っ込みたいのは山々だが…




「では、“女王様”と」

「却下!!!」


「では“姫”と…」

「そんなトコかしらね」


『あたしは姉御って呼んで欲しいなー』

「了解しました」




うん。本当に従順である。

冗談半分でドキドキしながらそう言うと、彼女はとびきりのスマイルで応えてくれた。


一つ息を吐くと、彼女は地面に向かって飛びこむように構えると、




「では!!!いきます!!!」




ズボッと音を立てて、決してやわらかくはない地面に潜っていった。

その後には人1人分の穴が残る。




「おし!!!あの穴を通っていくぞ!!!」

『…どうしたの?ナツ』




倒れていたカゲを担ぐナツを見て、不思議と思って問いかけた。




「オレと戦った後にしなれちゃ後味悪ィんだよ」




彼らしいなあ。

あたしもエルザも「仕方ないなあ」という表情でナツを見た。



穴をくぐりぬけて顔を出す。

風が化け物のようにふいていて、息をするのも苦しい。

勿論口にはしないが…これほどの魔法を遠距離で作動させているエリゴールの魔力は大したモノだと思う。




「急げ!!!」

「うわっ、すごい風」

「姫!!下着が見えそうです」

『バルゴちゃん、自分の見えてるぞ』


「…………」

『あっはっはー。悪いがあたしは下に見せぱん履いてるからぱんつは見えないよ、グレイ?』

「ッ!!?」




グレイも思春期か…

あたしのスカート裾を見ていたグレイに棒読みに笑いながらそう言ってやると、顔を真っ赤にしながら「別に見てねェし!」と言われた。

というか帯電しているあたしは静電気で服を身体にぺったり出来るし。

手でめくらないと見えないよなあ。




「無理だ…い…今からじゃ追いつけるハズがねえ…オ……オレたちの勝ちだ…な」

『そう言われると追いつきたくなるな』

「!ナツはどうした!?」




そういえば。

あれ?ナツって今しゃべってるカゲを運んでたよね?

キョロキョロと辺りを見回すも、姿が見当たらない。

それどころか、ハッピーもいない。



あー…

多分飛んでったんだろうねー…エリゴールの所に。







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