FT夢

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「集団呪殺魔法だと!!?そんなものがエリゴールの手に渡ったら…おのれ!!!奴等の目的は何なんだ!!?」

『エルザちゃん…飛ばし過ぎだっ!!』




鉄の森は、さっきの列車を乗っ取ったらしい。

遅かれ早かれ予想していた事だ。




「馬車や船とかならわかるけど、列車って…」

『レールのみしか走れないデメリットよりも、スピードのメリットを取ったんだろうな…』


「つか、アイリス!!ちゃんと掴まってろ!!!」




グレイに抱き込まれるように押さえられ、思わずぐっと息を止めた。

胡坐をかく彼の膝に座っているあたしなのだが、エルザは焦っているようで、あたし達が乗っている魔導四輪のスピードはどんどん速くなる。

風を真正面から感じる中、あたしがどうして此処にいるのかと言うと―――




「で…ンだよ、話ってのは」

『あ…うん、その……

………謝ろうと思って』




二年前の事をちゃんと謝りたくて。

こんな状況だけど、早めにちゃんと話をしておいた方がいい。

あたしは俯きがちに、




「………」

『二年前…黙って出て行っちゃって、ごめん』

「……別に、」

『あの時は、ちょっと気が動転してて…』




“彼女”の死は、あたしの精神を抉るようで。

辛くて辛くて堪らなかった。


あたしがギルドを飛び出して帰らなくなった理由。

彼に…ミストガンに諭されなければ今もこうしてグレイと話す事はなかっただろう。




「オ、オレも…悪かったし、マジで…その、な…」

『……?』

「だっ第一!!あれはその場の流れっていうか……」

『グレイ…あたしに何かしたっけ?』


「…………あ?」




あたしは黙って出て行った事を謝っているのだが、彼は何か勘違いしているらしい。

道理で会話が噛み合わないワケだ。

空を仰いでグレイの顔を見る。




『何かしたのなら、許したげるよ。あたし、覚えてないし』

「覚えて…ない…!?」

『…実は、出て行く時の前後の記憶が、ちょっと曖昧でサ』




喉を鳴らして笑うも、彼は浮かない顔をしている。

あたしは余程の事をされたらしい。

グレイは顔を真っ赤にしてあたしの目を見ていた。




「そっ…そう、だったのか……」

『焦りすぎ。顔まっかだし…』




頬に手をやり、小馬鹿にするように目を細めた。

熱を持っている顔が更に熱くなるのが、手の中で分かった。




「覚えてねえなら…まぁ…」

『だから服着なヨ』

「え?…あ」



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