FT夢

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「何でエルザみてーなバケモンが、オレたちの力を借りてえんだよ」

「知らねえよ。つーか"助け"ならオレ一人で十分なんだよ」

「じゃあ来んなよ!!!後でエルザに殺されちまえ!!!」



『二人ともうるさいヨ』

「迷惑だからやめなさいっ!!!!」




周囲の事を考えず何処でも喧嘩を始める二人。

ルーシィの一喝で一度静かになった。

二人は溜息を吐いたルーシィをじっと見つめている。




『えっと…何しに来たの?』

「頼まれたのよっ!!!ミラさんに!!!」

『ミラが…?ふむ。まぁ、彼女らしいかな』


「てめェ、何でいつも布団なんか持ち歩いてんだよ」

「寝る為に決まってんだろ。アホかおまえ」

「あ〜あ…めんどくさいなぁ…」




困り果てていたルーシィ。

と、急に彼女は何かを思いついたようで、ぱんっと手を叩いた。




「あ!!エルザさん!!!」

『「「ビクッ」」』




思わず私までびくついてしまった。

でも彼女がいたなら真っ先に私に声をかけるだろうし…


いろいろ考えていたのだが、あの二人は…



「今日も仲良くいってみよー」

「あいさー」

「これ面白いかも」




見事にルーシィの策略にハマっていた。

横から眺めていて、思わずプッとわらってしまった。




「「騙したなテメェ!!!」」

「クスッ…あんたら本当は仲良いんじゃないの?」

『あー。それは言えてる』


「冗談じゃねえ!!何でこんな面子で出かけなきゃならねえ!!胃が痛くなってきた……」

『荷物持ちさせてあげようか?』

「魚食べる?」

「いるかっ!!!アイリスに至っては労りですらねェ!!!」




魚を差し出すハッピー、鞄を取り出す私。

それをグレイがバッサリと切った。

小さく喉で笑って、ハッピーを抱いた。




「…クソ」

『ん?』

「(ハッピーめ…羨ましいぜ)」




私の腕の中のハッピーを見つめて、グレイが目を細めた。

彼は時折急に怒るんだけど…よく分からない。


ゴロゴロと響く音がして、思わず振り向く。




「すまない…待たせたか?」

「荷物多っ!!!!」

『わー』


「ん?君は昨日、妖精の尻尾にいたな…」

「!…新人のルーシィといいます」

『ミラジェーンに頼まれての同行なんだとサ』


「私はエルザだ。よろしくな。そうか…ギルドの連中が騒いでいた娘とは君の事か」




傭兵ゴリラを倒したとかなんとか…いろいろと脚色されてエルザの耳に入ったらしい。

傭兵ゴリラ…想像出来なくて腕を組んだ。




「今回は少々危険な橋を渡るかもしれないが、その活躍ぶりなら平気そうだな」

「危険!!!?」

「フン。……何の用事か知らねェが、今回はついてってやる。条件つきでな」


「条件?」

「バ…バカ…!!!オ…オレはエルザの為なら無償で働くぜっ!!!」

『ヘタレすぎるよグレイ…お母さん、悲しい』

「誰がお前の息子になんざなるかっ!!」




「言ってみろ」とエルザが諭すと、ナツはまっすぐエルザの目を見て、キッパリと言い放った。

彼らしくない、真剣な瞳。



「帰ってきたら、オレと勝負しろ。あの時とは違うんだ」

「!!!」

「オ…オイ!!!はやまるなっ!!!死にてえのか!!?」

『……へぇ』




二年で随分男になったじゃないか。

その状況が楽しくて、あたしはニコニコしながらエルザの返事を待っていた。

口角を緩め、小さく微笑んだエルザは滑るような動作で髪をかき上げた。




「確かに、おまえは成長した。私はいささか自信がないが…いいだろう」

『…驚いた、承諾しちゃうの?』

「あぁ。受けて立つ」


「自身がねえって何だよっ!!!本気で来いよな!!!」

「フフ…わかっている…。だが、おまえは強い…そう言いたかっただけだ」


『グレイはいいのか?滅多にないチャンスだぞ』




あたしがそう言うと、エルザはグレイの返事を見ようと視線をやる。

彼は口を開きもせず激しく首を振った。




「おしっ!!!燃えてきたァ!!!!」

『よかったなナツ』

「エルザに勝てたら、アイリスもやるんだからなっ!!」


『…聞いてないんだけど』

「今初めて言ったからなっ!!!」




そんな自信満々に言われても困る。

ナツはあたしの肩に手をやり、何気ない動作で耳元に口を近づけた。




「覚悟してろよ」

『ひゃうっ…………』

「、っ…!」


『ちょ、変な声出る!!止めろ馬鹿野郎!!!』


「ぐえっ!?」


120207

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