FT夢

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「今戻った。総長はおられるか?」

「お帰り!!総長は定例会よ」




「そうか」と呟いたエルザはくるりと辺りを見回して目を細めた。




「それよりおまえたち。また問題ばかり起こしているようだな。総長が許しても、私は許さんぞ」




威厳のある態度とその馬鹿デカイ角(?)から、エルザはかなりの魔導士だと表している。。

そう、事実彼女はとても強いのだ。




「カナ…なんという格好で飲んでいる」

「う…」


「ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸がらが落ちているぞ。

ナブ…相変わらず依頼板の前をウロウロしているのか?仕事をしろ」




次々と注意を加えるエルザ。

数人が肩を落としてショックを受けている。御愁傷様だ。




「ところで、ナツとグレイはいるか?」

「あい」


「や…やあエルザ…。オ、オレたち今日も仲よし…よく…や……やってるぜぃ」

「あ゛い」




始まった、心の中でそっと笑った。

妖精の尻尾名物、ナツとグレイの仲良しタイム。

エルザといる時は二人とも喧嘩も忘れて本気でビビってるからなあ。




「そうか…親友なら、時にはケンカもするだろう…。
しかし、私はそうやって仲良くしてるところを見るのが好きだぞ」

「あ…いや…いつも言ってっけど…親友って訳じゃ…」

「あい」


「こんなナツ見た事ないわっ!!!」




それは―――そうだろう。

エルザに初めて会った人は大抵、エルザに対してではなく周りの反応に対して驚くからね。

とくにあの二人――ロキ含め三人か――は異常だし。




「二人とも仲が良さそうでよかった。………ん?」

「ど、どうした、んだよ?エルザ……」


「可笑しいな…アイリスの気配がする」

『!!!!』




ギクッとして、思わず動いてしまった。

静かなギルドにはあたしが動いたことによって傾いた机のガタッという音が酷く響いた。




「…まさか、」

『…………』

「帰ってきたのか!!?」


『みゃ、みゃー……』




精一杯猫の鳴きまねをすると、グレイが「ブフォッ!!」と吹きだした。

失礼極まりない(後でぜってえ殴る)が、確かに今のは似てないと自分で思う。

コツコツとヒールの音が近づいたと思うと、急に視界が明るくなった。

エルザは机を容赦なく投げ飛ばしたのだ。




「………!!」

『あ…エルザちゃん……』

「アイリス…」

『た…ただいま…?』




今あたしは激しく後悔している。

そう、彼女にも二年前、黙って出て行ったのだ。

帰ってからミラに聴いた話だと、エルザは随分あたしを探しまわっていたらしい。




「アイリス…貴様…っ!!」

『、っ(来る…!!)』


「全く…驚かそうとでもしてたのか?」

『あは、はははっ』

「相変わらず癒しい奴だな、アイリスは…」




一歩一歩、確実に近づいてくるエルザの目に睨まれ動く事すら出来ない。

ギルドの空気がシーンとなり、ごくりと唾を飲んだ。

エルザの鎧の胸元が頬に密着したと思うと、そのままぎゅっと抱き締められた。




『ひにゃにゃにゃにゃにゃ』

「あ、アイリス!!」

「嗚呼…会いたかったぞアイリス…!少し身長が伸びたか?」




あたしが彼女を恐れる理由その2。

それがコレだ。

彼女はあたしを子供扱いするし、過保護すぎるから苦手。

喉奥からでた変な声を止める事は出来ないし、鎧は硬くて痛い。

だけど冷たい鎧越しに聞こえてくるエルザの心拍数が心地いい。




「実は、アイリスに頼みたい事がある。ナツとグレイにもだ」

『ぅ゛え?』


「仕事先で、少々やっかいな話を耳にしてしまった。

本来なら、総長の判断をあおぐトコなんだが、早期解決がのぞましいと、私は判断した」




びくびくしたままエルザを見つめる二人を横目に、あたしの頭を撫でるエルザを見上げた。




「三人の力を貸してほしい。ついてきてくれるな」

「え!?」

「はい!?」

『……?』




途端に騒つくギルド内。

あの、エルザが。

誰かを誘う?力を貸してほしい?

一体何が―――




「出発は明日だ。準備をしておけ」

「あ…いや……ちょっ…」

「行くなんて言ったかよ!!!」


「詳しくは移動中に話す……さて、アイリス。久し振りに私と風呂でも入ろうか」

『いや、いやだ…あたしは眠、ぶべっ』

「そう照れるな」








「エルザと…ナツと…グレイに…アイリス…

今まで想像した事もなかったけど……



これって、妖精の尻尾最強チームかも……」




結局お風呂に連行されたのは言うまでもない。

シャンプーまでされた…


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