FT夢

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『……えっと』

「お前、なんでクソ炎に連絡して俺には一言も―――」


『…ごめん、誰?』

「!??な、あ!?」

『思い出せないナ』

「えっ!?」




思わず驚くと、直後、ナツがケラケラと笑いだした。




「ナイス、アイリス!!打ち合わせナシなのによくやった!!」

『ルーシィのビックリ顔も見れたのは予想外だったけどね。久々に笑った笑ったー』




目を細めて笑うアイリスに驚いて目を丸くした。

さっきまでが嘘のように柔らかい表情になっている。

瞳の色は変わらないが、断然、此方の方が魅力的…

と、アイリスはあたしの視線に気付くとハッとしてそっぽを向いた。


顔が、赤い。照れているのだろうか?




「〜〜〜〜〜っ!!テメェ等!!!」

「え?えぇ?」


『…こほん。久しぶりだね、グレイ』




グレイの腕を引き、頬にキスをする。

不意内すぎるそのキスに当の本人であるグレイは愚か、周りも茫然とした。

それが当然のことであるかのように、アイリスは『また身長伸びた?何食ってんの?』と普通に話し続ける。




「べ、べつに普通だろ!?お前がチビなだけだっ」

『は?あたし平均値は上回ってるよ』

「グレイだけずりィよ!俺も!」

『はいはい…ナツは甘えたさんなんだから』




仕方なさそうに小さく背伸びし、ナツの頬にちゅ、と小さなリップ音をたて口付けを落とした。

自分からねだったクセに、ナツは赤くなってアイリスを抱き締めた。

『よしよし』まるで子犬でもあやすように、彼女もナツの頭を撫でる。




「ナツ……テメェなァ…!!!」

「ア?なんだよ、やんのか!?」

『相変わらずだな。今もこんな感じなの?』

「あ、うん…まぁ大体…」




いきなり話を振られ、少し動揺してしまった。

曖昧に返すと、アイリスはククッと喉を鳴らしてからナツの肩を持って身体を引き離した。

疑問府を浮かべた顔をしてアイリスを見たナツに、直後、




――――ドガッ!!




鋭い音を立てて、アイリスの膝蹴りがナツの腹部にヒットした。




「あ、がっ…!?」

「え、ちょ、アイリス!?」




この状況が理解し難くて、あたしは周囲を見渡す。

が、驚いているようにみえるのはほんの数人で、後の人は皆ニヤニヤとしながら二人を見ている。

グレイも目をパチパチさせて驚いていたが、何かを理解したように冷や汗をかきながら苦笑した。




「と、唐突すぎんぞアイリス…っ!!」




痛みに悶えて膝を折り腹を抱えていたナツが、苦しそうにうめいた。

口角から流れていた唾液を乱暴に拭うと、アイリスを睨んだ。




「覚悟してねーお前が悪いんだよ」

『ふん…余裕だねェ、グレイ。次は自分だっていうのに』

「甘ェよ。2年経ってんだ」




一体目の前で何が起きているのか分からず、睨みあうアイリスとグレイを交互に見ていると、




「アイリスも二人と一緒なのよ」

「!ミ、ミラさん!!」

「ナツとグレイがよくケンカするでしょう?二年前まで、あれは三人でやってたのよ」




『ハンデあげたげるよ、久々だし』

「いるかよンなモン」

『あたしは足技のみで、ガード禁止。ナツとグレイの二対一で構わないよ』





助け舟を出してくれたミラさんに感謝しつつ、再びアイリスとグレイ、起き上ったナツを見つめた。

よかった、魔法を使う勝負ではないようだ。

ホッとしたのも束の間、ナツは拳に炎を灯した。




「二対一は反対だ!!しかもパンツヤローとなんか!!」

「俺だってイヤだね!!」

『じゃあバトルロワイヤル式に変更してもいいけど…』




本格的に話しが進んでいる。

このままではまたギルドが壊れるんじゃ…!?




「本当…可愛いわよね、アイリス」

「た、確かに綺麗な人ですけど…でも、あの二人に混じって喧嘩って…」

「ナツもグレイもアイリスが大好きなのに、アイリスはそれに全く気付かない鈍感なトコロも」

「それは可愛いっていうか、可哀そうというか、」




「んじゃパーティーはルーシィん家でいいか?」

「おう!!」

『異論はないね』


「………………は?」




聞こえてきた会話に驚いて、思わず待ったを掛ける。

パーティー?あたしの家で?


三人の間に急いで入って、詳しく聞かせてもらう。




「アイリスのお帰り会だよ」

「ど、何処で?」



「「『ルーシィの家で』」」

「なんでその計画を立てるのにあたしがいないワケー!??」




その後家の中が滅茶苦茶になったのは言うまでもない。




(おかえり)

(ただいま)

120206

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