ゴミ箱文

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「……大丈夫か?アイリス」

『………うん』

「うん、ってお前…顔色悪ィぞ」




文字通り顔面蒼白なアイリスは、それでも『へいきだから』と言い張る。

コイツは器用なクセに…嘘をつくのは、下手だ。




「帰った方がいいんじゃねェの」

『……帰る』




そう言って席を立とうとしたアイリスが、立った瞬間、ぐらりとフラついた。

間一髪でその肩を支える。

細くて華奢な肩。

そこから伸びる腕も白く細いのに、ナツを抱えられる力があるから驚きだ。




「オ、オイ…」

『ごめん…ちょっとつまづいた…』

「…ハァ」

『……え?やっ、ちょグレ…うわっ!!』




腰を持ち上げ、そのまま樽のように肩に抱え上げる。

アイリスはオレの背中で下ろせ下ろせと騒いでいるが、聴き入れなかった。


弱ってるとき程返って強情になるアイリスが、オレを頼るのを待つのは御免だった。

ギルドを出て暫くすると、アイリスは暴れるのをやめ、大人しくなっていた。




『……グレイの、ばか』

「なんとでも言え、バカアイリス」

『ばか、まぬけ、露出魔、タレ目野郎、喧嘩っぱやい単細胞』

「……川に落とすぞ」


『だいきらい』

「!!!」




思わず…脚を止めた。

アイリスの顔は見えない。




『…優しくすると、キライになるよ』

「……知るか」

『あ、怒った』

「怒るに決まってんだろ…んな事言われたら」




アイリスを抱えていない方の手を、強く握る。

ゆっくりと、子供をあやすように背をポンポンと優しく叩かれた。




『…うそだっての』

「……」

『だいすきだから、ね。相棒』




大好きと言われて、嬉しいような、悲しいような。

所詮俺は相棒としか見られてないないのか、みたいな。

…少し悔しくて、仕返ししたくなった。


すとんと自分の前にアイリスを下ろすと、きょとんとしているのも無視して、




『ん…?』




軽く、触れるだけのキスをした。

何が起こったのか分かっていないような顔をしているアイリス。

自らの口に触れてから、オレの口に手を伸ばし、指先でなぞる。


ホラ…意識されてもないから、アイリスは照れてもくれねェ。




『思春期…?』

「違うわっ!!」



(鈍感女め)

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