Series『桜〜羅刹〜』

□IF 〜7年後〜
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明治10年4月―・・・
二人が住んでいる家の庭には、毎年遅い春を迎える時に咲く桜の樹がある。
毎年、二人で見ていたのだが、そこには洋装の軍服姿で葛木桜華ただ一人だけが立っていた、

「此処で眠るなら、寂しくないですね、敬助さん。」

桜の樹に向かって、桜華は泣きそうな笑顔で語りかける。

「今年も綺麗に咲いていますよ。
 でも・・・私一人で見るには寂しすぎます。」

桜を見つめる目に一筋の涙が流れた。

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