Series『現桜』

□The 16th.「捻挫(1)」
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入学式から日にちが経ち、新入生も学園に慣れてきた頃ー…
春の大会に向けて、薄桜学園剣道部の練習に熱も入ってきた。
今年も全国大会出場に向けて、剣道部顧問でもある数学教師 永倉新八の指導にも熱が入る。

「おらおらー!腰が引けてるぞ!」

2年 葛木桜華も唯一の女性部員として、今年も個人の部で全国大会へ行く為、同じく2年 沖田総司相手に打ち合いをしていた。

「桜華ちゃん、もうそろそろじゃないの?」

「まだまだぁ!」

激しい打ち合いの中、鍔迫り合いで沖田が桜華を吹き飛ばした。
これも二人がやり合えば、いつもの光景だったはずなのだが・・・

「痛ぅ・・・」

いつもなら直ぐ立ち上がるはずが、足首を押さえて呻き声を上げる。

「桜華ちゃん?」

沖田が慌てて近寄る。
それに気が付いた永倉も近寄って来た。

「おい、手をどけて見せろ!」

桜華の足首を見ると、見る見るうちに赤く腫れ上がっていく。

「こりゃ・・・おい、保健室へ行くぞ!」

「僕が運ぶ。」

沖田が桜華を横抱き(所謂お姫様抱っこ)する。

「大丈夫だから、総司、降ろせ。」

「そんな腫れちゃ、動かさねぇほうがいい。」

桜華の言葉に永倉が注意をし、黙って見守っている他の部員達に・・・

「皆は暫く休憩だ!」

と声をかけ、二人は保健室へ向かった。

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