Series『現桜』

□The 4st.「道場へ(1)」
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日曜の午後・・・葛木桜華は、近藤の道場に向かった。

「「先生、さようなら!」」

入口に差し掛かった途端、子供たちが飛び出してきた。

『あ、前の時間は子供達が習いにきてるのか。
 ちょっと早すぎたかな・・・』

そう思いつつ、道場へ向かうと・・・一人の男が立っていた。

『桜華!』

山南敬助は、入口から入ってくる桜華に驚いた。
桜華も立ちつくくしている山南に気が付くが、声もかけれず見つめたまま立ち止まっている。

『なんだろ、この気持ち・・・』

桜華は胸が熱くなり、眼から自然に涙が零れる。

「どうかしましたか?」

一息ついて、穏やかな笑顔で山南は話しかける。

「あ、あれ?涙が・・・」

「大丈夫ですか?」

「は、はい・・・すいません。」

桜華は慌てて涙を拭う。

「あ、今日からこちらにお世話になります、葛木と申します。
 よろしくお願いいたします。」

「あ、そうですか・・・私は山南と申します。
 まだ、学生の部には時間が早い気がしますが・・・」

「えぇ、ちょっと道場の様子が見たくて、早く来てしまいました。」

そこへ、近藤勇が道場から出てきた。

「あ、近藤さ・・・近藤先生、今日からお世話になります。」

「葛木君!ずいぶん早いな。」

「えぇ、道場を見たくて、早く来てしまいました。」

「君は熱心だなぁ・・・でも、掃除がまだでな、もう少し待ってくれるか?」

「じゃ、お手伝いしますよ。」

「いいのか?」

「えぇ、これからお世話になる道場ですし。」

「じゃ、中で源さんがもう始めているから、手伝うとしよう。」

「って、近藤先生も掃除するんですか?!」

「あぁ、うちは貧乏道場だしなぁ。」

と、近藤は笑う。

「はぁ・・・」

こうして、近藤と山南と桜華は、道場の中に入っていった。

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