Series『現桜』

□The 3st.「初日〜放課後〜」
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転校初日の放課後―・・・

『えっと・・・お昼休みに案内してもらったけど、剣道の道場はこっちだったな。』

葛木桜華は、剣道部の道場に向かっていた。
ここ、薄桜学園は、各種格闘技が盛んで、各部活毎に道場を備えており、特に剣道に関

しては県下でも有数の強豪校である。
桜華の目的は勿論、剣道部入部であった。

『お、あった、あった』

桜華はそっと扉を開けると・・・

「こらー!気合がたんねーぞ!」

剣道部顧問の永倉新八の気合が入った声が聞こえた。

「あのーすいませーん。」

大きな声で呼んでいいものか迷いつつ、声をかけてみる。
その桜華の声に気が付いて、

「あれー?桜華ちゃん?」

いきなり親しげに声をかけてくる生徒がいた。

「えっと・・・誰?」

「ひどいなー、同じクラスなのになぁ。」

「あ、ごめん。
 まだ、よくわかんなくて。」

桜華は素直に謝罪した。

「まぁ、今日来たばかりだしね。
 僕は沖田総司だよ、よろしくね、桜華ちゃん。」

「こちらこそ、よろしく、総司。」

「いきなり呼び捨て?」

「あんただって、人のこといきなり『ちゃん』付けじゃない。」

「面白いね、君。」

『人のこと言えるか』と、思ったがあえて黙っていた。

「で、何でここにきたの?
 マネージャーになりにでも来たのかな?」

その一言に、桜華は少しムッとした声で返事をする。

「違いますよ。
 ちゃんと部員としてですよ」

「へぇ、君がねぇ。」

沖田は値踏みをするような目線で桜華を見据える。

「いけない?」

更に機嫌悪く答える。

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