Series『現桜』
□The 24th.「体育祭(2)」
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「桜華ちゃん、お疲れ様。」
「あ、総司。」
応援席の戻ると沖田に話し掛けられた桜華は、先程の手帳の件を思い出したので聞いてみる事にした。
「ねぇ総司。
なんで土方先生の手帳を持ってたの?」
「あぁ桜華ちゃんが、あの指示を拾っただね?」
「そうそうって、あの指示書いたの総司?」
「うん特殊な指示は全部、僕だよ。」
「ほぇ?」
驚きの声をあげる桜華に対し、変わらない調子の沖田が答える。
「頼まれたんだ、体育委員会に。」
「あ、あ、そう。
で、最初の質問なんだけど・・・」
「あぁ借りたんだよ。
処でさ、中身は見た?」
「貸したって感じじゃ無かったけど・・・まぁいいや。
てか見てないよ、人様の手帳だし。」
「あらら・・・勿体ない。」
「どういう意味?」
沖田はクスリと笑って、桜華に耳打ちをした。
「はぁ、あの土方先生がぁ?」
「そっ♪」
満面の笑みを浮かべて、桜華の言葉に同意する。
「はぁぁぁ、驚いた。
・・・あぁぁ、だからか!」
「どうしたの?」
桜華の反応に疑問を口にする沖田。
「山南先生がね、手帳を渡してくれた時に伝えた方が良い言葉を教えてくれたの。
それが土方先生へ返す時、中身について『良かったですよ』みたいな事だったんだけど。」
「あはっ!流石、山南さん。」
「うん流石、山南先生だ・・・」
桜華は、山南の意外な性格を見た気がした。
それから・・・
『ちょっぴり中、見れば良かった。』
と思ったり。
「さ、桜華ちゃん、次の種目の準備しないと。」
「うん、そうだね。」
「でも本当に出るの?」
「当たり前じゃん。」
「くれぐれも怪我しないようにね。」
沖田の少し困った様な顔に対し、少し挑戦的な笑みで。
「それは総司次第だよ。」
と答えた。
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