Series『現桜』

□The 21th.「海(2)」
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山南が桜華の後に続き、パラソルに戻ると今回海に来ているメンバーが全員そろっていた。

「あ、山南さん、待ってましたよ。」

沖田が満面の笑みで迎える。

「どうしました?」

「山南さんも参加していただきますから。」

「あの・・・一体なんのことだか・・・」

山南の疑問の声に桜華が答える。

「今聞いたんですけど、ビーチバレーするらしいですよ。」

「私も・・・ですか?」

「当たり前じゃ、ないですか!」

「はぁ・・・」

何を言ってるんだ、こいつって位な感じで沖田が答えると、山南は毒気を抜かれた様に返事をした。
それから体を皆の方へ向き直し、沖田が・・・

「それじゃペア組もうか。」

というと、原田と斎藤が希望を口にする。

「俺、桜華が良いなぁ。」

「俺も・・・桜華か原田先生が・・・」

だが、何故かヤル気の沖田が・・・

「僕だって近藤さんか桜華ちゃんか左之さんが良いけど、ココは平等にいかないと。」

そう言って取り出したのは数本の紐。

「さぁ皆、コレを一本ずつ取ってね?」

「準備いいな、総司。」

桜華が思った事を漏らす。

「ふふん。
 そんな事はいいじゃない、とっとと引く。」

「あーはいはい。」

皆、思い思いに紐を掴む。

「じゃ離しますよ。」

沖田が手に持っていた紐を離すと、決まった組合せに其々声が上がる。

「「げ!」」

「「!」」

「げって言っても、入れ替えは認めないからね。」

「「わかってるよ」」

「じゃ発表します。
 先ずは『げっ』て言った新八さんと平助」

「足引っ張るんじゃねぇぞ、平助。」

と言いながら平助の肩を組む永倉に、平助も。

「新八っつぁんこそ!」

「じゃ次、左之さんと一君。」

「よろしくお願いします。」

斎藤は頭を深々下げる。

「おう、頼むぜ。」

「お次は桜華ちゃんと山南さん。」

「よろしくお願いします、先生!」

桜華の笑顔に釣られらる用に笑みを返す。

「えぇ、こちらこそ。」

「そして、僕的な本命の千鶴ちゃんと土方さん。」

「よろしくお願いします。」

実は先程から不機嫌通り越して殺気だっている土方に恐る恐る千鶴は声をかけるが・・・

「・・・」

土方はサングラスをかけたまま、チラリと一瞥しただけ。

「土方さん、ペア何だから、もっと仲良くしないと。」

「そうだぞ、トシ。
 雪村君が怯えているじゃないか。」

沖田の言葉に近藤も同意する。
が、千鶴は落ち込み気味に話す。

「あ、私が足引っ張るのはわかってますから。
 それで・・・」

「ちげーよ、お前のせいじゃねぇ。
 原因は・・・」

そう言って土方は沖田を睨みつける。
沖田はソレを無視する様に近藤へ体を向ける。

「最後は近藤さんと僕です。
 よろしくお願いします、近藤さん。」

「あぁ頼むぞ、総司。」

「はい!」

一通りの組合せを確認して、ふとメンバーを見た桜華は疑問を口にした。

「ねぇ、このメンバーの中じゃ、千鶴ちゃんがキツくない?」

「あ、桜華ちゃん達が戻る前に言ったけど、千鶴ちゃんの組は不戦勝になるんだ。」

「ってことは・・・?」

「じゃーん!」

と言って総司が取り出したのは、白紙のトーナメント表。

「そんなもんも用意してたの?」

半ば飽きれた声で桜華は、沖田が持ってるトーナメントの枠が書かれた紙を見る。

「勿論♪」

「ねぇ所で、この不戦勝って・・・」

そうイキナリ決勝戦になっていた。

「そ♪千鶴ちゃんの組は、2回戦って程良く疲れた組と戦うハンデ。」

「んで勝てば優勝か・・・」

「あの?本当に良いのでしょうか?」

桜華と沖田のやり取りを聞いていた千鶴が最もな疑問を口にする。

「良いんじゃない?」

「でも・・・」

桜華は千鶴の肩に手を置いて励ます。

「コレは女の子の特権として受け取っておきなさい。
 この体力が有り余っている輩に混じるわけだし。」

いつもの事だが、自分も女と云う自覚ない桜華。

「そうそう。
 桜華ちゃんの様にそんな奴らへ混ざっても問題ない人と違うんだから。」

「ん?総司、ソレって・・・」

桜華の言葉を遮って、沖田は話続ける。

「さ、そんな事より、戦う組合せ決めないとね!」

「なんか誤魔化されてるような・・・」

沖田は桜華の独り言の様な呟きを無視し、また手に紐を持つ。

「さ、千鶴ちゃんの組以外はコレ引いて〜」

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