Series『現桜』
□The 20th.「海(1)」
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「あち〜」
「暑いですねぇ。」
季節は夏ー…
剣道部2年 葛木桜華は先日の捻挫で春の大会をぼうにしてしまったが、本人は全く気にしてはおらず(逆に周りの方が落ち込んでいた)、いつも通りの日々を送っていた。
そして夏になり、学園も夏休みに入り、秋の大会に向けて、今までの遅れを取り戻す様にシゴかれていた。
「あー頭から水かぶりてぇ〜」
「桜華先輩、気持ちはわかりますが、後が大変ですよ。」
「だよね〜、千鶴ちゃん。
あー、男はいいよなぁ・・・」
桜華と剣道部マネージャー1年 雪村千鶴は比較的風通しの良い窓際で、部活の休憩中に涼んでいた。
そこに・・・
「桜華ちゃん、千鶴ちゃん。」
「あ、沖田先輩。」
現れたのは、いつもの笑みを携えた剣道部2年 沖田総司だった。
「なんだよ〜総司〜」
「あーぁ、すっかりダレちゃって。」
「煩いなぁ〜」
「ねぇ二人とも、海に行かない?」
「海!?」
桜華が勢いよく沖田に迫る。
「急に元気でたね。」
「だって、海でしょう?」
桜華の様子に少し楽しげに沖田は答える。
「うん、近藤道場の皆で行こうかなと。」
「いいねぇ〜♪」
千鶴は『自分は関係ないかな』と思い、立ち上がろうとすると・・・
「千鶴ちゃんもだよ。」
「え?」
「当たり前じゃん!
千鶴ちゃんも行こうよ。」
沖田と桜華の言葉に対し、意味がわからないという表情で首を傾げる。
「大丈夫、皆歓迎するよ。」
「良いのでしょうか?」
「勿論!」
「じゃ、決まりだね。
後は・・・基本、僕が声かけるとして・・・」
「珍しいな、総司が動くなんて。」
「まぁね。
けど、桜華ちゃんと千鶴ちゃんに頼みがあるんだ。」
含みのある笑みを桜華に向ける。
「何?」
「あのね・・・」
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