dream
□プロローグ
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喧嘩をした。
きっかけは、本当に本当に些細な事で。
一時間もすれば互いに忘れてしまうような、そんな小さな小さな事で。
私は、
大好きな大好きな、自分の片割れである双子の兄と。
威厳のある立派な国王を勤める、尊敬していた父と。
優しく頭を撫でて、私を甘やかすこの国一番の母と。
私に笑いかけ、よく尽くしてくれた使用人、メイド。
それらを、
ナイフで、ワイヤーで、銃で、拳で。
殺した。
殺し尽くした。
妙に頭は冴えていて、これまた妙に、心地良かった。
今の今まで住んでいた城に、真っ赤に燃える火を放って。
そうして、そこで、あの人と出会った。
血よりも赤くて火よりも赤い。
そんな目を持つ、あの人と。
はじめて会ったのは、その時。
「俺と来い。」
そうして伸ばされた手を、
掴む。
そうすることしか、考えられなかった。
それが始まり。