小説(うたプリ)

□甘えんぼ
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翔ちゃんは甘えるのが苦手です。


ある日の夜。

「な、那月!」

もう遅いから寝ようと自分のベッドに入ろうとしていたときでした。
なんだか焦ったような声で翔ちゃんは僕の名を呼びます。
でもその後は下を向いてしまって、僕に何の用があるのか分りません。

「翔ちゃん、どうかしたの?」

心配でそう問いかけてみても、翔ちゃんはあ、うとか呻いているだけです。
どうしたら翔ちゃんの気持ちが分かるかなって考えていたら、ようやく翔ちゃんが答えてくれました。

「あ、のさっ!あ、明日の朝、なんかめっちゃ寒いらしいからさ・・・その、俺様がお前のこと温めてやるよ!!」

耳まで真っ赤にして叫ぶ翔ちゃんを見て、僕はようやく理解できました。
翔ちゃんは僕と一緒に寝たかったんですね。
ただそれを直接言うのが恥ずかしかった、それだけなんですよね。
かわいい、かわいい翔ちゃん。

「わぁ、ありがとうございます。翔ちゃんに温めてもらえるなんて、僕とーっても嬉しいです」

翔ちゃんが素直に僕のベッドに入ってこられるように、僕は気付いていない演技をします。
そうすれば“おう!”ってその場がぱっと明るくなるような笑顔を見せてくれるって知っているから。

翔ちゃんはお兄ちゃんだから甘やかす方法は知っていても、甘える方法を知らないんです。
だから翔ちゃんが甘えたい気持ちのときは、いーっぱい甘やかしてあげるって僕は決めているんです。
これからも僕だけに甘えるかわいい姿、いーっぱい見せて下さいねっ♪


――
那月は北海道出身なので寒さに強そうです。
でも翔ちゃんが甘えることは珍しいので、そのときは腕でも胸でも差し出してあげる那月なのです。
なんか那月の方が男前になった!←

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