小説(銀魂・parallel)

□春ですから
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風が花粉を舞わせるこの季節。
花粉症の人なら忌み嫌うかもしれないが、俺は花粉症ではないので春は好きな季節だ。
しかしそうは言っても夜になるとまだ冷え込んでいる。
冷えた指先がこれ以上冷えないようにコートのポケットに突っ込み、足早に帰路に着いた。


「ただいま〜」

返事がないということは十四郎は睡眠中だということだ。
十四郎は本物の猫のようによく寝ている。
昼間は日向ぼっこしながら寝ているし、夜だと毛布に包まって寝ている。
今日も寝ているのだろうと思ってリビングに入ると、案の定十四郎は丸くなっていた。
ただ毛布をかけてはおらず、身体も少し動いているので起きているようだった。

「十四郎?」

俺は不審に思って声をかけると、十四郎は身体をビクッとさせてこちらを向いた。
今初めて俺の存在に気付いたらしく若干顔が引きつっていた。

「あの、おかえりなさい」

言い終わるとすぐ下を向き、着ている上着を引っ張って必死に下半身を隠した。
十四郎が今着ているのはロングパーカーともこもこしたオーバーニーソックスだけ。
しっぽが締め付けられるのが嫌いなためズボンをはくことは滅多にない。
まぁ下着は履いているから中が見えることはないんだけど、服の間から覗く真っ白な素足が俺的には艶めかしい。
なんとなくいつもと様子がおかしい十四郎に近付いてみると、俺には顔が火照っているように思えた。
俺の家に来たてのころに熱を出したことがあるのでまた熱かと思い十四郎の額に手を伸ばす。

「あんっ」

触れた瞬間に声が上がったのでつい手を離してしまう。
でも今の声は驚きというよりもどっちかというと嬌声に近いものだった。
俺がもう一度よく見てみると十四郎の瞳は潤んでいるし、呼吸も少し荒かった。
この様子は間違いなく感じている時のものだった。

「どうかした?」
「・・・何でもないです」

理由を話してくれない十四郎に焦れた俺は少し低い声で名を呼び、答えるよう促す。

「十四郎?」
「ごめんなさい・・・発情期なんです」

十四郎は観念したようにうなだれて答えた。
てか、発情期ってあの発情期?
猫にあることはもちろん知っていたけど、愛玩人形にもあるなんて思いもしなかったんですけど。
でもすごく納得できる理由だったけどね。

「もしかして1人でしてた?」
「・・・」

今にも泣き出しそうな顔から答えは容易に知れてしまった。

「まだ出してないんだよね?すっきりさせてあげる」

俺は十四郎ににっこりと微笑むと、十四郎を足の上にのっけて後ろ抱きの状態にした。
そして自分の足を十四郎の足の下に入れて大きく広げさせる。
自慰の最中だったせいかパーカーの下には何も身につけておらず、俺からも大事なところが丸見えだった。

「や!俺はもう大丈夫ですからっ」

恥ずかしい格好に慌てる十四郎を尻目に萎え始めていた自身に手を伸ばした。

「にゃっ、冷たいですぅ」
「ごめんね、じゃ十四郎が舐めて暖めて?」

ずっと暖かい部屋にいたせいか大分温まってきていた指でもまだ冷たいようだ。
俺は十四郎の口に指を入れるとかき回す。
口内で指を温めている間に左手は服の上から胸のあたりをそっと撫でる。

「ふっ、んん」

俺の指の動きに合わせて舌を這わせる十四郎はいつもより敏感になっているらしく、身体をビクビクと震わせていた。
そろそろいいだろうと思って指を抜くと、十四郎は熱のこもった吐息を漏らす。
なんだか抜いて欲しくないみたい。

「前も早く触って欲しいって感じ?」

先ほどまでの刺激によって十四郎自身は再び兆し始めていた。
俺は自身に触れてあげると焦らすようにそっと手を動かした。

「あぁん、もっと欲し・・・」

優しく扱くだけではもう満足できないらしく十四郎は自分でも扱き出した。
いつもよりも声を出して自分の欲望に素直に従っていた。
俺が根元のほうをかわいがってあげると、自分は鈴口に爪を立てていた。

「一生懸命弄ちゃって。そんなに気持ちいい?」
「ん、いい・・・くぅん、もう、出そう」
「じゃイけるように手伝ってあげるね」

俺はさっきまで十四郎が自ら動く姿が見たくて緩い刺激しか与えていなかった。
だけどあんまり焦らしすぎちゃうのはかわいそうなので、下から上へ搾り出すように擦りあげた。
いきなり強く扱かれて十四郎は目を見開く。

「ああぁんっ!!」

ほどなく一際高く大きな声を上げて、十四郎は絶頂を迎えた。


出したものをティッシュで拭いているうちに十四郎は正気に戻ってきていた。
俺からパッと身体を離して謝るとリビングの隅に置いてある布団の中に潜ってしまった。
さっきまでの行為を思い出して恥ずかしくなっちゃったみたいだ。
丸くなっている十四郎に苦笑しか出てこない。

「ちょっといじめすぎちゃった?」

布団の上から身体を撫でる。
そのまま撫で続けているとぐぅという音が部屋に鳴り響いた。
その音の正体が十四郎のお腹の音だとすぐに分
かった。

「ご飯作ってくるからね」

立ち上がろうとしたところでやっと十四郎は布団から出てきた。

「俺がやります」
「いいよ。どうせ力入らないでしょ?大人しく待ってな」

頭をわしゃわしゃ撫でてやるとちょっぴり嫌そうな顔をしながらも俺の言うことを聞いてくれた。
少しずつ俺に甘えるということを覚えてきたみ
たいでなんだか嬉しい。


夕飯の最中に発情期のことについて聞いた。
発情期は個人差があるらしいが十四郎はだいだい1週間ぐらいで治まるとのこと。
発情期のときは媚薬を使ったときのような感覚になるらしい。
でも常に身体が熱くなるのではなく、波があって弱いときはいつも通りの生活ができる。
強いとさっきみたいに我慢できなくなっちゃうみたい。
十四郎曰くいつもより多めに出せばすっきりするからそれでいいんだって。
まぁ出しすぎると逆に身体だるくなっちゃうだろうけど。
大体のことは聞けたからとりあえずは大丈夫かな。
夕飯のときは普通だったし、寝る時間になってもつらそうな雰囲気はなかった。
ただ一緒に寝るのは迷惑かけちゃうからって言われたので、十四郎はベッドの下の床に寝ることになった。
なんだか俺といるとしたくなっちゃうからって言われているみたいで、俺のほうが十四郎を欲しくなってしまう。

「おやすみ」

ゆっくり眠れることを祈って部屋の電気を消した。
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