小説(銀魂・原作)

□たまには・・・
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日も暮れて間もなくのころ、トントンと万事屋の階段を上る。
玄関の前につくと、インターフォンを鳴らす。
中から「おぉ」と声がしたため、扉を開けて中に入った。


「いらっしゃい」

リビングに入ると、銀時はソファに座っていた。
机の上には大きなホールのケーキが置いてあった、少しつまみ食いした跡があったが。

「万事屋、誕生日おめでとう」

一応、プレゼントとして持ってきたものを渡す。

「ってイチゴ牛乳!?・・・誕プレだったらなんかもうちょいあるでしょーよ」
「文句言うなら返せ。変なもの渡されるよりましかと思ったんだよ」
「へぇ〜・・・ま、ちょうど切れてたから助かるけど」

さっきの不服そうな顔は、あっという間ににやけ顔にかわり、銀時はイチゴ牛乳を冷蔵庫にしまいに行った。

「他のやつらは?」

いつもいるガキ共の姿は見えず、家の中にいる気配もしなかった。

「あ〜、新八の家に行ってる」
「・・・いいのか?」
「何が〜?」
「その・・・一緒にいてやらなくて・・・」
「昼にパーティーしたから大丈夫。新八が気ぃ利かして自分ん家に連れてってくれたみたいだし」
「そう・・・」

なんだか俺と二人だけでせっかくの誕生日を終えるなんて悪い気がして、銀時の方を見ることができなかった。

「どうかした?」
「っ!!」

頬にあてられたビールの冷たさと急にかけられた声に驚き、身体がビクッと跳ねる。

「・・・どうしたの?」

心配そうな顔で俺を覗き込む。
普段と違う態度の俺のことを気にしているのだろう。

「・・・いや・・・俺とだけで良いのかなって・・・思って・・・」
「何が?」
「その・・・誕生日一緒に過ごすの・・・」

銀時は持っていたビールを机に置くと、俺にむぎゅっと抱きついてきた。
俺の背中に手を回すと、まるで赤子をあやすように背中をぽんぽんと叩いた。

「もちろん。俺は誕生日を好きな人と過ごせてすごく嬉しいよ」
「っ///」

俺も・・・なんて言える性格じゃないから、自分も手を銀時の背中へと伸ばし、自分の気持ちを伝えようとする。
どれくらい抱き合っていただろうか?
実際はすごく短い時間だったのかもしれないが、俺にはすごく長い時間抱き合っていたように感じた。
身体を離すと銀時の手が俺の首の後ろを抑え、そのままキスされた。
銀時は啄ばむようにちゅっちゅっと何回も俺の唇を吸う。
やっと顔が離れたと思うと、銀時はニコッと笑って、

「じゃぁ、食べますか!!」

そう高らかに言った。

「ケーキとビールを一緒に食べるのか?」
「それはさすがに糖分王の銀さんでもしないよ。昼の残りとつまみくらいならあるからそれで」
「・・・何か買ってこようか?」
「十四郎は腹減ってる?俺、昼食いすぎててさぁ、自分で言った手前あれだけど、あんまり腹すいてないんだよね」
「俺もあんまり空いてないから、あるもんでいい」
「りょーかい」

銀時は冷蔵庫から皿を取り出して机に並べていく。
俺も少し運ぶのを手伝う。
あっという間にチキンやらスパゲッティやら、万事屋にしては頑張ったであろう料理の数々が机を占領した。
ケーキは邪魔になるし、常温ではあまりおいしくないので冷蔵庫に閉まっておいた。
俺たちは向かい合って座って、手に缶ビールを持った。

「あらためて・・・誕生日おめでとう」
「ありがとう・・・乾杯!!」

コンとアルミ缶のぶつかる間抜けな音が部屋に響いた。


あらかた料理を食べ終わり、机には空になったビールの缶とさっきのケーキがのっていた。
二人とも酒にはあまり強くないほうなのでほんのり顔は赤くなっていた。
いつの間にか銀時は俺の隣に座っていて、何かあるたびに俺に触っていた。

「ねぇ、誕生日だから俺の言うこと何でも聞いてくれる?」
「何だよ?」
「聞いてくれるの?」
「・・・モノによる。とりあえず言ってみろよ」
「俺ね・・・十四郎を抱っこしたい」
「は?」
「十四郎を俺の膝に乗せてケーキを食べさせたい」

一瞬何を言われたのか分らなかった。

(俺を膝の上に・・・?ガキじゃねぇんだからよ)

そのまま無言で黙っていると、

「あ〜、怒ってる?」

銀時は俺の機嫌を伺うかのように、ビクビクして聞いてきた。
俺の目つきがいつの間にやら厳しくなっていたのであろう。

「いや、別に。ていうか何なんだよ、そのお願い。俺を抱っこしても別に何も良くないだろうが」
「抱っこさせてくれたら俺はすごく嬉しくなれるんだけど、だめ?」

銀時は俺をジーッと見つめ、いつになく真剣な顔をして頼んでくる。
そんな熱心な態度を見せられると、せっかくの誕生日だし言うことを聞いてあげたくなってくる。

「・・・俺、重いぜ?」
「して良いの!?」

その問いにコクッと頷くと、ソファから立ち上がり銀時の右足の上へ座った。
安定性が悪いので必然的に身体を銀時にくっつけることになる。

「平気か?重くないか?」

銀時に負担をかけていないか、ただそれだけが気になった。

「全然・・・あぁぁ、銀ちゃん幸せ!!」

銀時の幸せそうな声音を聞くと、やってあげて良かったと思えた。

「はい、あ〜ん?」

銀時はにこやかにフォークに刺さっているケーキを差し出す。
しかし、それは明らかに一口でいけるサイズではなかった。

「でけーんだよ!!そんなん入るか!!」
「大丈夫、大丈夫。十四郎ならいけるって。ほら、口開けて!!」

戸惑っている俺を気にせず銀時はケーキを近づけてくる。
これ以上開かないというほどまで口を開いて食べたが結局入りきらず、ケーキの生クリームが
口の周りを汚した。

「ったく、ベタベタじゃねぇか・・・」
「十四郎こっち向いて」
「あ?・・・っ!!」

振り向いた瞬間、生暖かいヌルッとしたものが唇の端に触れる。
その正体は銀時の舌で、口の周りについていた生クリームを舐め取ったのだ。
銀時の右手が俺の身体を固定していたため銀時の舌から逃れることができず、口の周りの生クリームをきれいに舐め取られた。

「ん、おいしい。なんかこっちの生クリームの方が甘い気がする。・・・あれ、十四郎どうかした?」
「どうかした?じゃねぇ!!バカだろお前」

突然の銀時の行動に驚き、顔を真っ赤にして怒鳴りつける。
一方銀時は涼しい顔をして、俺のことを見つめていた。

「俺がしたいこと何でもして良いって土方君が言ったんじゃん」
「それは俺を抱っこすることだけだろうが!!」
「なんだ、そう・・・俺の勘違いだったのか・・・」

俺はこんなことまでOKしていたわけではない。
そもそもこんなことしてくるとは思いもしていなかった。
が、こうもあからさまにしょぼくれている銀時を見ると心が痛む。
よく内容も聞かずOKしたのは俺なわけで・・・
それに俺は別にこういう行為が嫌いなわけではない。
俺たちは恋人の間柄なわけだが、こんな甘甘な雰囲気に俺は耐えられず、いつもけんか腰になってしまうのだった。
相手の誕生日ぐらいは素直になってあげた方がいいのは百も承知だった。
俺は銀時のももから立ち上がると、銀時の両足の間に入るように床に座り込んだ。
手を銀時の足の付け根へと伸ばす。

「へっ?!な、何?・・・十四郎っ?!」

あせった声を出す銀時を無視し、着物を持ち上げ、ズボンに触れる。
そのままボタンを外し、チャックを開ける。
下着に触れようとしたところで、銀時の両手が俺の身体を離した。

「ちょ、ストーップ!!」
「何だよ?」

両肩をがっちり掴まれ動けないので、銀時を見上げて睨みつける。

「この体勢はもしかしてアレですか!?アレをしてくれるんですか!?」
「うっせぇ!!フェラしてやるから黙っとけ」
「マジでか!!お前本当に土方十四郎?」

いつもより積極的な態度を取る俺に不信感を感じているのだろう。
銀時は嬉しさ半分困惑半分という顔をしていた。
それは以前銀時に頼まれたときに、「誰がするか!!」と俺が本気で断っていたからだろう。
酒の酔いも手伝って、いつもは恥ずかしくてできないことでも、今日は何でもできる気がした。

「これも誕生日プレゼントだ、ありがたく貰っとけ」

そう言うと、俺は顔を銀時の股間へ近づけた。


万事屋にはペチャペチャという濡れた音だけが
響いていた。

「ん、ふっ・・・男同士のせいかうまいね」

銀時は掠れた声を出しながら、俺の頭を褒めるように撫でる。
俺はもっと銀時を悦ばせてやろうと、口を大きく開き、さらに銀時のモノを深く咥えた。
口を窄めて、強弱をつけて丁寧に下から上へと舐め上げる。
俺は一心不乱に銀時のモノを舐め続けた。

「ぁ・・・一生懸命舐めちゃってかわいい・・・そんなに俺のおいしい?」

「・・・っ!!」
変なこと言うなと、視線だけで銀時に訴える。
しかしそんな訴えもむなしく、銀時は聞く耳を持たない。

「ペロペロ舐めててなんか犬っぽい・・・ん、そこ気持ち良いよ・・・」
「ぷはっ・・・だから言うなって」

言われるたびに自分がしている行為を自覚するから、本当に何も言わないでいて欲しい。
これ以上変なことを言われないように、俺は早く銀時をイかせることにした。
両手で棹を擦り、先端の割れ目に舌を這わせる。
銀時のモノはさらに硬度を増してビクビクと揺れ、射精のときが近づいているのが分った。
銀時は口の中に出したくないのか、俺の顔を引き離そうとしてきた。
が、俺はそれを無視し、そのまま銀時のモノにしゃぶりついていた。

「十四郎?・・・これ以上は・・・俺、ヤバイんだけど」
「別にこのまま出せばいいじゃねぇか」
「それは何か悪い気が・・・無理しなくていいよ?」
「てめぇだって俺にしてんだろ!てめえにできるんだから俺にだってできる」
「はぁ〜・・・それじゃ、ちょっとごめんね」

そう言うと銀時は俺の頭を掴み、大きく前後に揺らす。
モノが喉の奥のほうまで届き、嘔吐きそうになる。
それでも俺は銀時にされるがまま口での奉仕を続けた。
すると間もなく銀時のモノは大きく震え、喉に熱い飛沫をぶつける。
俺は飲み込もうとしたのだが、どろどろとしたそれはなかなか喉を通らず、さらには出されたときに変なところに入ってしまい、結局そのほとんどを吐き出してしまった。

「だ、大丈夫か?最後無理やりさせちゃってごめん!!」
「平気・・・俺も全部飲めなくてごめん」
「そんなん銀ちゃん気にしないから!!だから
本当にごめんね?」

銀時は本気で焦っていて、その態度に俺は笑ってしまった。
銀時の俺への気持ちがすごく伝わってきて、こんなにも愛されていたのかとあらためて実感する。

「あ〜。笑わなくてもいいじゃないですかぁ」
「なんだかすごく嬉しいんだよ・・・銀時」

俺は銀時に抱きつくと、自らキスをした。
口を離すと、銀時は開口一番に、

「これが俺の味か・・・」

と言ってきた。

「ふっ、おいしい?」
「びみょー・・・十四郎の方が甘くておいしい」
「だから変なこと言うなっつーの!!」
「言い出したの自分からじゃん!」

こんなにも自分が素直になれているのは不思議
だった。
銀時といるときは真選組にいるときとは違って素の自分を出せている気がする。
誰かと一緒にいて心が安らぐのはやっぱりその人のことが好きだからだと思う。
だから今日はもう少しサービスしてやる。

「銀時・・・続きしたいから俺をふとんまで連れていけ」
「っ!!・・・あ〜、もう、銀誕さいこー!!」

そう叫ぶと、銀時は俺を抱き上げて寝室まで連
れていった。
それから俺たちは一晩中愛し合ったのだった。


「・・・立てねぇ」
「昨日はいっぱいしたからねぇ・・・腰痛い?」

俺は今、昨日の行動をものすごく後悔していた。
銀時とのセックスは下半身に鈍い痛みをもたらし、さらに二日酔いで頭にもダメージがあった。
俺は涼しい顔をしている銀時を恨めしそうに睨みつけた。


素直になっていつもと違う雰囲気は楽しめたものの、その代償は大きかったのであった。

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